幕末から明治期にかけて「阿波刻みたばこ」の生産で繁栄した三好市池田町。中心部にはうだつのある商家が並ぶほか、県内有数の酒どころとして酒蔵も残る。最近は、NPO法人や地域おこし協力隊らの活動が活発で、にぎわいづくりの取り組みが進む。歴史を感じさせる建物と新たな息吹が交差する町並みを歩いた。

古民家改修、温かい雰囲気「マチのいえ」

 古民家を改修し、中に入れば温かい雰囲気が漂う。「マチのいえ」(池田町マチ)は和菓子と喫茶を楽しめる。元市地域おこし協力隊の國金有美さん(33)=徳島市出身=が昨年11月に開き、毎週金曜日に営業している。

 両親が三好市出身だったことなどが縁で2016年度から3年間、協力隊を務めた。和菓子店に勤めた経験を生かし、在職中は地域の交流スペースで和菓子を月1回提供。三好市産の茶についても学び、「文化をきっかけにして、交流が生まれる場所を作ろう」と考えた。退任後に祖母が住んでいた家に店を構えた。

 メニューは地域色たっぷりで、ういろうや寒天などの和菓子に、ユズや甘夏といった地元の食材を取り入れている。手作りの郷土菓子「おいのこさん」「そばぼうろ」も販売している。

 昼夜の寒暖差がある西祖谷山村有瀬で栽培されている「有瀬茶」は、こくのあるうま味と豊かな風味を持つ。山城町上名の「炒り歩危番茶」は、香ばしさとすっきりとした味わいが特徴だ。

 ゆっくりとくつろいでもらえるよう茶室や庭を備えている。イベントの実施も計画しており、「和菓子や茶の魅力を感じながら、ほっと一息ついてもらえればうれしい」と話している。

 営業は金曜の午前11時~午後4時半。問い合わせは「マチのいえ」のフェイスブックページ「文化と和菓子」。

和菓子や市産の茶を提供する「マチのいえ」の國金さん=池田町マチ

日本酒楽しんで「味どころ 米舞」

 築100年以上の商家を改修した市地域交流拠点施設「真鍋屋」(愛称MINDE、池田町マチ)。その一角に、日本酒と小料理を提供する「味どころ 米舞」がある。2019年12月にオープンしたばかりだ。

 創業120年以上の老舗酒蔵「三芳菊酒造」(同町サラダ)のおかみ、馬宮和子さん(52)が、日本酒のおいしさに出合う場にしたいと出店した。

 メインは、甘味やフルーティーな香りが特徴的な三芳菊の日本酒。このほか、共に頑張っている四国の酒蔵を応援するため、近藤酒造(愛媛県)や亀泉酒造(高知県)などの酒を置いている。

 料理は、ジビエや季節の野菜といった地元産の食材を中心に使った炒め物や煮物を用意。毎日10種類ほどをカウンターに並べ、「料理とお酒のマリアージュ(組み合わせ)を楽しんでもらいたい」と馬宮さん。

 若い世代向けに日本酒をベースにしたサングリアをメニュー化しているほか、日本酒のロックやソーダ割りなど新たな飲み方も提案している。「三芳菊の酒を、代わりの利かない酒にしたい。また飲みたいと、言ってもらえるようになればうれしい」と語った。

 営業は午後6~10時。日曜定休。問い合わせはフェイスブックページ「味どころ 米舞」。

「味どころ 米舞」を切り盛りする馬宮さん=池田町マチ

「マルシェ」で活性化

NPO・マチトソラ 横山篤志理事長

 人口減少で衰退する地域に活力を呼び戻そうと、住民有志が2012年に設立したのが、NPO法人マチトソラだ。最大のイベントは、三好市池田町の「うだつの町並み」に飲食・雑貨店が出店する「うだつマルシェ」。年2回の開催で、毎回約70~80店舗が県内外から出店している。

 素材や過程にこだわりを持つ生産者と商品を応援しようというコンセプトで続けてきた。店舗を設けるなど起業したケースもあり、地域の活性化につながっている。横山篤志理事長(47)は「イベントの日だけにぎやかになるのではなく、出店者が成長する場にしてもらい継続的なイベントになるよう心掛けてきた」と振り返る。

 新型コロナウイルスの影響で2月は開催中止になり、オンライン販売に切り替えるなどの対応を取った。今後は約10年間で培った出店者を応援するノウハウを他の地域にも広め、活性化に役立てたいと考えている。「人口減少や過疎など課題は挙げれば切りがない。状況に合わせて形を変えながら地域を盛り上げたい」と力を込めた。

池田町の活性化に取り組む横山理事長=池田町マチ

全国に普及、歴史紹介「阿波池田たばこ資料館」

 阿波池田たばこ資料館は、繁盛した「阿波刻みたばこ」の歴史を紹介している。たばこを製造していた旧真鍋家を旧池田町(現三好市)が購入して改修し、1999年に開館。築約150年がたち、当時の雰囲気を今に伝えている。

 製造工程を解説する模型や喫煙具、タバコの葉、帳簿類など約200点の資料が並ぶ。中でも、葉たばこを刻む「剪台(せんだい)」のレプリカがひときわ目を引く。中村武右衛門という人物が昆布削り機から着想を得て考案し、各地に広がったとされる。

 書院造りの離れ座敷は、違い棚に紫檀(したん)、床柱に黒檀(こくたん)を使用。欄干は鶴を透かし彫りにしている。市民に貸し出しており、サークル活動やギャラリーとして利用されている。

 助川克興(かつおき)館長(69)は「池田のたばこが全国に広がった歴史を知ってほしい」と話している。

 開館は午前9時~午後5時。水曜定休。入館料は一般320円、高校生・大学生210円、小中学生100円。問い合わせは資料館<電0883(72)3450>。

旧真鍋家を活用した「阿波池田たばこ資料館」=池田町マチ