デジタル機器があふれる現代社会を生きる若者の間で、アナログで心揺さぶられる体験を楽しむ「AE(アナログ・エモーショナル)消費」がひそかなブームとなっている。この連載では徳島で体験できる古き良きものを、われわれチーム「HACK」が10代、20代の視点で紹介していく。

 
 

 AE消費の1回目は徳島が誇る伝統文化の陶芸・大谷焼を取り上げる。今回は鳴門市にある窯元の一つである大西陶器を訪れ、大西直紀さんの指導の下で製作工程を体験した。われわれの感想や他の利用客の声を通してAE消費の奥深さを伝えていきたい。

 大谷焼 1780年に四国八十八カ所霊場を巡礼に訪れた大分県の焼き物細工師納田文右衛門が、鳴門市大麻町大谷に立ち寄った際にろくろ細工を披露した。これを見た時の庄屋森是助が素焼き窯を築いて蟹ヶ谷の赤土を使った火消しつぼ等の雑器類を焼かせたことが大谷焼の始まりといわれている。

 

 今回の体験では大西さんから電動ろくろを使った作り方を教えていただいた。ろくろの上で粘土を広げて形を作ろうとすると、水分が多くて柔らかいため力加減が分からず変形してしまった。

 

 しかし、大西さんのお手本を参考にやってみると、徐々にきれいな形を保てるようになっていった。途中で変形させる工程には戸惑ったが、最終的に形の整った作品を仕上げることができた。

 

 体験中には他の利用客の「楽しい」「面白い」といった声がたくさん聞こえてきた。難しいイメージがある大谷焼だが、指導を受けながら体験することで意外に簡単で面白いことに気付く参加者は多いようだ.

後日、完成した作品

 今回の体験では茶わん、皿、湯飲みの3点を作った。この3点はさまざまな工程を経て1カ月半ほどで完成となる。配色は鉄黒釉、月白釉、銅青磁釉、淡雪釉の4種類から選ぶことができる。

「藍の焼き物がお薦め」と大西さん

 大西陶器では新型コロナウイルス禍の影響で一時的に利用客が減っていたが、現在は客足も少しずつ戻りつつある。県内だけでなく県外から訪れる利用客も多く、体験以外に商品の注文もよく入るとのことだった。

 

 男女問わず幅広い年代の体験者からは、大谷焼について「面白い」「思っていたより簡単」という声が聞かれるという。それこそが大谷焼の魅力であり、奥深さなのだと体験を通じて感じた。

 今回は紹介しきれなかったが、大谷焼と同じく徳島の誇る文化である藍染にもさまざまな体験メニューが設けられている。伝統工芸のAE消費を、この記事を読んだ皆さんにもぜひ体験してもらいたい。

■HACK(最優秀賞)=曽我部泰嵩、中山綾菜、山田千代、松原圭佑(以上グラフィックデザインコース1年)鍬田了護(情報システムコース1年)

最優秀賞に輝いたHACKのメンバー