北島町の南に位置する鯛浜地区は徳島環状線が通り、映画館が入る大型量販店や24時間スーパーをはじめ、カフェなど多彩な店が立ち並ぶ。町内でひときわにぎわいを見せ、町外から訪れる人も多い。慌ただしく車が行き交う中、各店や名所をゆっくり巡り、支える人の思いに触れた。

子育て中の人に笑顔 学生服リユース店「さくらや」

 県内初の学生服のリユース(再利用)専門店として2016年に誕生したのが、さくらや徳島北店。高額な制服が安価で手に入るとあって保護者の人気を集める。

 3男1女の母親である川邊めぐみ代表(48)が家計の負担軽減になればと、全国約50店舗で展開する学生服リユースショップ「さくらや」のパートナー契約を結んで出店した。

 着なくなった制服を買い取ってクリーニングし、新品価格の1~4割で販売している。保育園から高校までの制服や体操服を用意し、約8500着の在庫がある。買い取り価格は状態などに応じて決めている。

 口コミやSNS(会員制交流サイト)で知られるようになり、年々売り上げは伸びている。オープンの翌17年に約1500件だった販売件数は、昨年約2500件となった。小学校高学年の大きめの制服や洗い替え用のブラウスなどのニーズが高い。

 「子育て中の全ての人が笑顔になれる場を目指している」と言う川邊代表。18年からは月に1度、店内で母親らの交流の場を設け、情報交換やワークショップを開いている。今年は阿南市と三好市で移動販売を行ったほか、リモートで本人確認を徹底する郵送の仕組みも整えた。

 営業は月、水、金曜日の午前10時~午後6時(祝日の場合は午後4時まで)と土曜日の午前10時~午後4時。

要望に応じて制服を見せる川邊代表=北島町鯛浜

風船とキャンドルの店「ファンタジーワールド」

 24時間営業のスーパー・ハローズのすぐそばに立つ。外壁にパンダや風船の絵が描かれ、店内はハート形や花、キャラクターなどのバルーンであふれる。

 風船とキャンドルの店・ファンタジーワールドは、双子で姉の北島久美さん(49)と妹の多田里佳さん(49)が2004年に開店した。当初はバルーン専門だったが、6年ほど前からキャンドルの制作と販売も始めた。

 バルーンは、誕生日や発表会などのプレゼント用に注文する人が多く、額や色など希望に応じて作り上げる。ホームページには目的に応じた商品の見本が多数並ぶ。最近はSNSで映える写真を撮りたい人の購入も増えている。

 キャンドルは、まだなじみが薄いものの、イベント会場でのワークショップなどを通じて「インテリアにも災害時にも使える」とアピールしている。

 2人は「もっと商品の種類を増やしたい」と意欲的。身近に感じてもらうため、短時間で手軽にできる体験教室も充実させる予定だ。「親子で一緒に何かを作ることを楽しんでもらいたい」と話し、ハンドメード作家の作品を集めたミニマーケットの開催も計画している。

 火曜、第1水曜日定休。営業時間は新型コロナウイルスの影響で短縮しており、午前10時~午後6時。

記念日に応じた商品を手掛ける北島さん(右)と多田さん(左)=北島町鯛浜

気軽にスーツ注文を「cafe Ciel」

 徳島環状線沿いにある「cafe Ciel(カフェシエル)」は、オーダーメードスーツ店とカフェが同居する。石井町でレディース服の店を営む木宮正善さん(43)が、2016年にオープンさせた。

 入り口はそれぞれ分かれているものの、店内は自由に行き来ができる。従来のスーツ店は「入りにくい。入ったら何か買わないといけない雰囲気がある」といったイメージがあり、気軽に立ち寄ってもらおうと考えた。

 スーツのオーダーは男女ともに可能。20代~60代の幅広い年齢層を対象にする。有名ブランド数千種類の生地から選ぶことができ、裏地やボタンも豊富に取りそろえる。今の時季は成人式用に仕立てる人が多いため、11月中旬ごろまでは事前予約を勧めている。

 カフェの人気メニューは、レアに近い状態に仕上げるフレンチトースト(税抜き600円、要予約)。酒類も提供しているほか、客が飽きないようにランチメニューなどを頻繁に入れ替えている。9月には超大型パラソルを設けたテラス席(16席)を整備した。

 木宮さんは「お客さんに支えられている。徳島にはないようなものを提供して、いろんな人に来てもらいたい」と話した。

 水曜日定休。営業時間は午前11時~午後6時。オーダースーツは午後6時以降も完全予約制で受け付けている。時間は要相談。

cafe Cielの(左から)オーナーの木宮正善さん、妻の犬伏まりさん、スタッフの中村萌香さん=北島町鯛浜

巨木の下 厳かな空間「水神社」

 フジグラン北島の東隣は木々が並ぶ。今切川の堤防沿いから南北に延びる「水(すい)神社」は、地域住民に「水神さん」の愛称で親しまれている。

 境内は、クスノキなど巨木の葉が頭上を覆い、市街地化が進む中で厳かな雰囲気が漂う。「水神社の社叢(しゃそう)」として町の天然記念物に指定された1982年当時は、約400本が植えられていたという。

 「北島町史続編」(2018年発行)などによると、かつては各地の神社の祭礼に合わせて競馬が開かれていた。水神社にあった馬場も有名な場所の一つとして知られ、江戸期から大正末期まで行われていた。本殿立て替え時に外された天井絵208枚には競馬にちなむ図柄が多く描かれ、競馬関連用具と共に「水神社天井絵及び競馬関連用具」として町の有形文化財にもなっている。

 毎年10月の第4日曜日は祭りがあり、地域の小学生が活躍する。女子がみこ舞を奉納し、男子がだんじりに乗って太鼓やかねを演奏して近くの御旅所(おたびしょ)へ向かう。

 今年は新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、式典のみ行う。最近は少子化の影響や塾、習い事などで祭りに参加する子どもが少なくなっている。北島昭文総代長(83)=鯛浜、町議=は「この地域の安全を守る氏神様。伝統の祭りは大切に続けていきたい」と力を込めた。

祭りでみこ舞を披露する小学生=2019年10月、北島町鯛浜(江富写真館提供)