8月、鳴門市の徳島自動車道で路肩に停車中のマイクロバスに大型トラックが追突し、高校生ら16人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われたトラックの元運転手菊池誉司(たかし)被告(50)=松山市南久米町=の論告求刑公判が18日、徳島地裁(坂本好司裁判長)であった。検察は「居眠り運転により大型トラックが走る凶器と化した。遺族の処罰感情は厳しい」として禁錮7年を求刑した。
被告人質問では、7年前に重度の睡眠時無呼吸症候群との診断を受けながら、菊池被告が自ら治療をやめたことが明らかになった。検察官から理由を問われ「治療器具を装着して余計に睡眠が取れなくなると思いやめた。これまで運転中に一度も眠くなったことはなく、今回の事故に影響はなかったと思う」と答えた。
被害者参加人の意見陳述では、亡くなった富岡西高1年森下汐音(しおん)さん(15)=海陽町宍喰浦=の母親が、菊池被告が過去に人身事故を繰り返していたことを非難し「何度も事故を起こしながら、反省はしなかったのか」と涙ながらに訴えた。
検察は論告で「眠気を覚えてから休憩する場所は複数あったのにしなかった。2人が突然に人生を奪われ、14人が重軽傷を負った結果は重大」と指摘した。
弁護側は最終弁論で「バスの運転手が停車の旨を通報したり三角表示板を設置したりするなどしていれば、事故は避けられた可能性は高い。バス運転手にも少なからず落ち度はある」と、執行猶予付きの判決を求めた。
起訴状によると、8月25日午後5時ごろ、鳴門市大津町大幸の徳島道下り車線で、大型トラックを運転中に居眠り状態に陥り、マイクロバスに追突。バスをガードレール外の土手に転落させた。路上に立っていたバス運転手の岡本勉さん(30)=阿波市阿波町綱懸=と、バス車内にいた森下さんを死亡させ、乗客14人に重軽傷を負わせたとしている。
判決は、来年1月24日に言い渡される。
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