出荷時期を迎えたブロッコリー畑。今シーズンはカモの食害で出荷量が減少している=徳島市国府町佐野塚

 徳島市の北井上、不動、応神の3地区で、カモによるブロッコリーの食害が深刻化し、生産農家から「死活問題だ」との声が上がっている。被害を防ぐには苗を布で覆う必要があり、市は来シーズンからの購入費の補助を検討している。

 JA徳島市によると、今シーズン、市内のブロッコリーの作付面積は264ヘクタール。北井上、不動、応神の3地区で約220ヘクタールと8割以上を占め、このうちの約10ヘクタールでカモの食害が確認された。特に深刻なのは北井上地区で、作付面積33ヘクタールの1割を超す4ヘクタールで被害が出た。

 ブロッコリーは10月から翌年の6月にかけて出荷される。カモは出荷が始まる10月ごろに越冬のため飛来し、翌年3月ごろまで滞在する。例年、カモは主に吉野川河川敷にいるが、今シーズンは生息域を農地に広げ、定植から間もない小さな苗の葉を好んで食べた。1度食べられると株を収穫できなくなることが多い。

 全国的にブロッコリーの需要が高まり、市内の作付面積は昨シーズンより約40ヘクタール拡大したが、カモの食害や冬場の気温が平年を下回った影響で、5月1日時点の出荷量は前年同期比3%減となっている。

 JA徳島市北井上支所ブロッコリー部会の関野達也さん(46)は「毎年少なからず被害はあるが、今シーズンは異常だ」。0・6ヘクタールを荒らされた同地区の男性(65)は「被害額は200万~300万円。本当にひどい」と話す。

 市は国に交付金を申請中で、許可されれば、来シーズンから苗を覆う不織布の購入費の半額を補助する。ただ交付期間は3年間の見通しで、市農林水産課は「市財政は厳しく、交付期間終了後に一般財源から支出するのは難しいだろう」としている。