【海辺の花壇】潮風が吹き抜ける海岸で花を咲かせるシオギク

 冬が訪れ、北風の冷たさを感じるようになると山野で咲く花の数がめっきり減る。そんな時に出掛けるのが徳島県南の海岸。黒潮の影響で、北部とは植物層が変わる阿南市以南の海岸地帯を目指す。

 目的は晩秋から初冬にかけ花をつけるシオギク。土のほとんどない岩場を選んで生えるキクの一種で、その名の通り、海の潮風の当たる場所で咲く。

 12月初旬、今年も阿南市の蒲生田岬に車を走らせた。

 期待通り、シオギクは岬の灯台へと続く遊歩道に沿う群生地で見事な花をつけていた。花は、花びらを持たない筒状花と呼ばれる形で1センチほどしかないものの複数が密集しており、海岸に花畑が出現したかのようだ。

【珍しい形】花は黄色で花びらがない筒状花といわれる形が特徴。丸く直径1センチほど。

 四国のみで見られるシオギクは、蒲生田岬から高知県香南市の物部川までの海岸線という極めて狭い範囲に分布している。イソギクやキノクニシオギクよりも一回り大きく、原種ではないかといわれている。

【たくましく】蒲生田岬の駐車場で舗装やコンクリート側溝の隙間から生えるシオギク。
【たくましく】蒲生田岬の駐車場で舗装やコンクリート側溝の隙間から生えるシオギク。

 他のキク科の植物と交雑しやすいため室戸岬などでは純粋なシオギクが減少している。県内ではまだその兆候は見られない。小さな花の「生命」がいつまでも続くようにと祈りながら、次の自生地へと車を走らせた。

【つぼみ】厚みのある葉が並ぶ茎の先に小さなつぼみが密生している。
【岩場を彩る】岩の隙間から生えるシオギクは群生になることは少なく、小さな株がしがみつくように生えて花をつける。
【岩場を彩る】岩の隙間から生えるシオギクは群生になることは少なく、小さな株がしがみつくように生えて花をつける。