伊勢エビやアワビ、テングサなど海の幸が豊富で漁業が盛んな牟岐町。沿岸部以外にも魅力的な場所がある。河内地区では昔ながらの炭焼きが行われ、橘地区には渡りチョウ「アサギマダラ」が飛来する。自然や文化の魅力を発信する地域を巡った。

「西又の炭窯」西澤さん 「父の窯」 復活させる

 牟岐町河内には、50年ほど前まで、10軒余りの炭窯があった。ガスや電気の普及で炭の需要が激減して姿を消し、現在は西又地区にある炭窯だけが残っている。

炭窯を管理運営する西澤さん=牟岐町河内

 「西又の炭窯」と呼ばれ、隣に住む西澤秀夫さん(77)と集落支援員2人、地域おこし協力隊員1人が管理運営している。2016年、西澤さんの父・富一さんが使っていた窯を復活させた。

 西澤さんは中学時代、父の手伝いで木材の伐採や炭焼きを経験したものの、後は継がずに海陽町の土木会社で勤めた。退職後、主体性や協調性を育む町教委の教育プログラム「シラタマ学級」に参加する中学生やボランティアと一緒に窯を修繕し、炭焼きを始めた。出来上がった炭は、希望者に販売している。

 使用するウバメガシやカシは、南阿波サンライン沿いの町有林で伐採している。炭焼きを通じて町有林の手入れにつながればと考えているが、父の仕事を手伝っていた頃と比べると、管理されていない山が増え、炭焼きに向かない大きな木も多いという。

 「水が枯れないようにするためにも適切な山の管理が必要。できる限り続けたい」と話す西澤さん。大学生とも交流があり、徳島文理大メディアデザイン学科の学生が動画「牟岐の炭窯 ある老人の挑戦」として制作している。