周囲との間隔を空けて演舞する踊り手

 新型コロナウイルスの脅威に世界が翻弄された2020年。徳島市の阿波踊りも戦後初めて4日間全てが中止となった。徳島が誇る伝統文化を守るため、主催する阿波おどり実行委員会は昨年11月21、22日、感染対策の検証を兼ねた阿波踊りイベントを実施した。今夏の阿波踊りはどんなスタイルになるのか。主催者や踊り手の思いを聞くとともに、新しい阿波踊りの「カタチ」を展望する。<全2ページ>

【昨年11月の検証イベント】距離確保、掛け声控え 減益対策など課題残す

 徳島市の藍場浜公園で昨年11月にあった阿波踊りイベントでは、さまざまな感染対策が講じられた。ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保、飛沫の拡散防止、健康チェック・・・。踊り手や運営スタッフらはコロナ禍の下での運営形態を模索した。

 午前と午後の2部制で実施し、公演は各1時間だった。21日は県阿波踊り協会徳島支部、22日は阿波おどり振興協会の踊り手が中心となって演舞。2日間で33の踊り連から計554人が出演し、県内外から訪れた計2675人が観覧した。

 これまでの阿波踊りとは様式も雰囲気も大きく異なった。県協会の踊り手はマスクを着用し、「ヤットサー」の掛け声も控えた。振興協会の「総踊り」は本来(約1700人)の5分の1。ただ、多くの観客は久しぶりの阿波踊りを堪能した様子で、懸命な演舞に大きな拍手で応えた。

 実行委はイベントを踏まえ、感染対策の改善点や会場レイアウト、踊りの演出方法などを検証する。本番に向けては▽空席を増やすことによる減益▽踊り手や出演連の減少に伴う演舞場の数と規模の適正化▽会場外の雑踏での感染対策ーなど課題は少なくない。

 今夏の阿波踊りの事業計画は2月下旬に策定する予定。ウィズコロナ時代のモデルケースとなるのか、県民だけでなく、全国の祭り関係者も注目している。

■イベントで検証した主な新型コロナ感染対策■

【会場】
•入場者を2000人以下に制限
•演舞場の長さを通常の122メートルから106メートルに短縮
•座席間は3席空けて前後左右にそれぞれ1メートル以上離す
•座席数は本来(約4300席)の5分の1程度となる最大890席(招待席や報道席を含む)
•2部制の公演の間に座席を清掃・消毒
【踊り手】
•入場待機中はマスクを着けて1メートル間隔で並ぶ
•最低2メートル以上の間隔を空けて踊る
•向かい合うような演出はしない
•掛け声はできるだけ控え、観客と対面にならないようにする
【観客】
•入場券はスマートフォンを使ったデジタルチケットを導入
•会場入り口で検温や手指消毒をし、当日の体調を確認するほか、マスク着用を呼び掛ける
•大声での歓声を控えるよう注意を促す
•感染者が発生した場合に備え、チケット申し込み時に連絡先を把握