県内で多く見られる開放型鶏舎(県提供)

今季養鶏場で鳥インフルエンザが確認された県

 西日本の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザの発生が相次ぐ中、19日には徳島県内で初めて阿波市の養鶏場で確認された。専門家は、ウイルスを運んでいるとみられる渡り鳥の飛来ルートが、例年と異なり西日本に集中していると指摘する。県内にはウイルスを媒介する動物が侵入しやすい構造の「開放型鶏舎」が多いため、「感染が広がる恐れがある」と警戒を強めるよう呼び掛けている。

 鳥インフルは、カモやハクチョウなどの渡り鳥を宿主にすることが多い。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の調査によると、11月5、8両日に香川県で確認されたのは昨冬に欧州で流行したウイルス「H5N8亜型」の近縁に当たる。渡り鳥を介して今秋、国内に侵入したとみられる。

 今季、鳥インフルが確認されたのは徳島を含む13県32例(今月27日時点)。24日に千葉県いすみ市で発生するまで全て西日本での発生だった。

 宮崎大農学部の末吉益雄教授(獣医学)によると、シベリア方面から日本に向かう渡り鳥のルートは<1>北海道から東北<2>日本海から中四国<3>朝鮮半島から九州―の三つある。末吉教授は「気象など何らかの要因が影響し、<2>のルートに渡り鳥が集中したのではないか」と推測する。

 鳥インフルが18例発生している香川県で指摘されているのが、ため池の多さ。全国3位の1万4619カ所あり、県土の面積当たりの密度は全国で最も高い。ため池は渡り鳥が休息のために集まりやすく、鳥の死骸を食べたイタチやネズミなどが感染したまま鶏舎にウイルスを持ち込むとされる。

 徳島県内には農業用ため池が548カ所あり、このうち阿波市内は74カ所と県内で3番目に多い。個人所有の池などを含めるとさらに増える。市によると、鳥インフルが発生した養鶏場は市内でもため池が多い場所にあり、半径1キロ以内にはため池が48カ所ある。

 県によると、今回の養鶏場を含め、県内の養鶏場244カ所の大半が、鶏舎の周りを金網やカーテンで囲った「開放型鶏舎」の構造。温度調節がしやすい利点がある一方、隙間が多く動物が侵入しやすいという。末吉教授は「『開放型』が集まっている地域では、動物を介して感染が広がる可能性がある」と指摘する。

 県は農家に対し、侵入防止対策を取るよう指導している。ただ、施設そのものの改修はコスト面から断念する農家が多い。

 三好市で開放型の養鶏場を営む男性は「(密閉度の高い鶏舎への)建て替えには数億円が必要といわれる。コストがかかり過ぎて難しい」と話す。金網を二重に張るなどして対策しているが「できることはやっている。これ以上の対策がない」と漏らす。

 県は、鶏舎の新築に限っている国の支援制度を、改修・改築も対象にするよう農林水産省に求めている。

 末吉教授は施設改修以外の防止策として「動物が近寄りにくい環境をつくるのが重要。周辺の木の枝打ちや草刈り、消石灰の散布を徹底してほしい」としている。