スマホを使い、指先だけで絵を描く西岡さん=小松島市の小松島高

西岡さんがスマホで描いた作品

 四肢がほとんど動かせない難病「脊髄性筋萎縮症」を抱える徳島県立小松島高校3年の西岡将太さん(18)=阿南市=が、スマートフォンを使って指先だけで絵を描いている。思うように絵筆が動かせない西岡さんに、3年前に出合ったスマホのアプリが道を開いた。「体が不自由でも夢はかなえられる」。目標としていた初の個展を17~24日に徳島市で開く。

 脊髄性筋萎縮症は神経細胞の障害によって筋肉が萎縮する病気で、患者は国内に約1千人。西岡さんは3歳になっても自立歩行できないことを心配した両親が医師に相談して判明した。

 全身のほとんどを自由に動かせない中、左手の指は操れる。普段は電動車いすで移動し、高校では教員の介助を得ながら授業を受ける。

 アニメキャラクターの落書きや塗り絵が好きで、小学生の頃から絵に興味を持った。阿南中学校では美術部に入ったが、腕で絵筆を動かせないため、大きなキャンバスを使う作品に挑めず、創作意欲を存分に発揮できずにいた。

 中3の終わりに見つけたスマホ用の描画アプリ「ibis Paint(アイビスペイント)」が、表現の幅を劇的に広げた。指先で画面を操作するだけで、体に負担なく線画や彩色ができる。スマホの小さな画面を見ながら、繊細な指先の動きで少しずつ描く。複雑な絵だと1枚に約1カ月かかる。西岡さんは「デジタルイラストが障害の壁をなくしてくれた」と言う。

 小松島高の美術・創画部では、希望者は卒業前に校外で個展を開ける。西岡さんは1年の入部時から個展に向けて創作に没頭した。生田浩二顧問(64)は「努力家で、作品を描くたびに画力が上達していった。個展で他人に見てもらう経験は、彼にとって一生の財産になるはず」と期待する。

 西岡さんは「重度の身体障害者は何もできないと思われがちだが、その人に合った道具と努力があれば何でもできる。個展をきっかけに障害者の社会参加が広がればうれしい」と顔をほころばせる。

 個展は徳島市元町1のシビックセンター3階市民ギャラリーで。花火と浴衣の女性、夜景を見つめるテディベア、髪を束ねる女子高生などを描いた21点を展示する。午前9時~午後9時。17、23、24日の午後3~4時は西岡さんが滞在する。入場無料。問い合わせは平日に小松島高の生田顧問<電0885(32)2166>。