徳島県が、徳島阿波おどり空港(松茂町)のターミナルビル拡張を進めている。総事業費は18億円。インバウンド(訪日外国人旅行者)による経済効果をもたらす国際定期便の誘致が目的だ。しかし、2018年1月21日の運用開始が迫る中、肝心の定期便就航のめどが立っていない。「巨費を投じたのに、宝の持ち腐れにならないか」。県民からの冷ややかな視線が強まっている。

 県が空港ビルの拡張に着手したのは2015年度。ビルを西側に広げ、3基目のボーディングブリッジ(搭乗橋)や待合室、税関、出入国審査、検疫など国際定期便誘致に欠かせない施設の整備を進めている。

 18億円という大型投資に踏み切った背景には、インバウンドの取り込みが、全国最下位の宿泊者の増加や買い物需要の拡大をもたらし、地域経済を潤すとの読みがある。

 空港の施設整備に併せて誘致活動を展開している県は、県議会6月定例会で、香港の香港航空から定期便就航の打診があったと発表した。だが、半年経過した今も、正式な就航の発表には至っていない。県次世代交通課は「香港国際空港は過密状態で運航スケジュールの調整に時間を要している」と説明する。

 11月定例会で国際便就航が発表されたが、本命の定期便ではなく、2カ月限定(18年1月21日~3月22日)で計18往復する香港とのチャーター便と、2月の台湾とのチャーター便2往復だった。

 インバウンドは日本全体で大きく伸びているが、成田、関西国際など主要7空港に出入国は集中している。地方空港も増えてはいるが、全空港に占める割合でみると、16年は5%で、14年の10%から半減している。

 このため地方空港間の誘致合戦は過熱し、航空会社への運航経費助成など、条件面の競争が常態化している。四国他県をみると、韓国・ソウル、台湾・台北、中国・上海、香港の4都市に週20便の定期便が飛ぶ高松空港は、香川県が運航経費助成などの関連予算として年約5億円(17年度当初予算)をつぎ込む。額は前年度の約1・5倍に増えた。

 松山空港に上海、ソウルの両便を誘致している愛媛県も、利用促進のために年約1億4千万円(17年度当初予算)を投じている。訪日ツアー客1人につき片道1万円を旅行会社に助成するほか、ソウルを訪れる県民にも4千円を支給している。

 徳島県は香川、愛媛と同様、航空会社を金銭的に支援する考え。国際定期便を徳島に飛ばす航空会社に対し、一般的な規模の航空機で1便当たり67万円余りの運航経費助成を予定している。週2便が通年就航した場合には約7千万円になる。

 香川に4路線、愛媛に2路線が既に存在する中、後発組の徳島に勝算はあるのか。仮に定期便が就航しても、維持のために税金をつぎ込む構造が待ち受けている。これらは事業着手の前に、十分吟味されたのだろうか。

 県には12年に中国湖南省と結ぶ定期チャーター便がわずか2カ月余りで休止した苦い教訓がある。多額の県費を投じた以上、同じ失敗は許されない。