先人から継承した宝

 1982年、鳴門市文化会館完成を記念し、第九の演奏会が開かれた。その前年くらいから、仕事の昼休みに、終わった夜に、児童も生徒も働いている人も高齢の方も第九の練習をする人が増えだした。この時期から鳴門市で徐々に第九が広がっていった。

 1918年、ドイツ兵捕虜が自分たちの手で実現した第九を、時を経て、今度は市民が同じように手作りで開いた。演奏会はもう35回を重ね、今では第九の里・鳴門として全国、外国からも歌いに来てくれる。35回連続で演奏会に参加している人が合唱団にも、聴衆にもいる。

 100周年に向け、2014年度に第九ブランドを広く浸透させるための基金を創設した。寄付を募り、その同額を市も積み立てていく仕組み。イオングループのご当地電子マネーを通じ、買い物金額の一部も基金に入る。市民の手による第九のブランド化がここでも進められている。

 われわれはすごい遺産、宝を先人からいただいた。大切に未来へつないでいきたい。