舞台の熱気 今も鮮明

 今年6月で35回目を迎えた鳴門市の第九演奏会が産声を上げたときから関わってきた。私にとって第九は生きがいそのもの。1年が第九を中心に回っていると言っていい。
1982年5月、鳴門市文化会館の落成記念として始まった第九演奏会の1カ月前に、市職員の異動で会館勤務となった。本来なら裏方に専念するところだが、鳴門高校合唱部の出身者として前年から第九の練習をしていたため、上司の配慮で舞台に上がれた。あの時の熱気と感動は生涯忘れられない。

 その後も裏方として歌い手として全力を尽くしてきた。全国から集う出演者が一つになれる交流会も開き、司会を続けている。演奏会では「歓喜の歌」の途中から自然と涙があふれてくる。今年も1年間、みんなで力を合わせて頑張ってきたという思いが胸に去来する。

 2年後の初演100年の節目が過ぎても、鳴門の第九の行く末を見届けたい。これからも第九と共に歩んでいきたい。