徳島県の「とくしま国民文化祭記念管弦楽団(とくしま記念オーケストラ)事業」などで得た所得を申告せずに税金約3千万円を免れたとして、法人税法違反などの罪に問われた音楽プロダクション「アンサンブル・セシリア」(東京都渋谷区、解散)の元代表取締役川岸美奈子被告(58)と法人としての同社の初公判が27日、東京地裁(駒田秀和裁判官)であり、川岸被告は起訴内容を認めた。検察側は冒頭陳述で、川岸被告が所得の大部分を会社名義の預金口座に留保し、一部を自分の生活費に充てていたことを明らかにした。

 冒頭陳述によると、川岸被告は短大を卒業後、個人でプロダクション業務を始め、1990年9月にアンサンブル・セシリアを設立。今年7月31日付で解散するまで代表取締役を務め、業務全般を管理統括していた。

 地方自治体などが主催する演奏会で、委託を受けた制作会社から演奏家の手配や曲目の選定、プログラムの作成といった業務を請け負い、受託料などを売り上げとして得ていた。会社設立時に税理士から法人税の確定申告をするよう指導されたが、設立当初から申告していなかった。

 検察側は川岸被告が供述調書で「申告の必要性と会社に利益があることを認識していたが、業務に追われて申告していなかった」と述べたことを明かした。

 川岸被告は、黒のジャケットに黒のロングスカート姿で法廷に現れた。白いハンカチを握り締めた両手を膝の上に置き、終始うつむき加減だった。裁判官の質問には消え入りそうな声で応じ、職業を聞かれると「無職です」と答えた。

 起訴状によると、被告は2016年7月期までの3年間、所得計約1億2900万円を申告せず、法人税など約3千万円を免れたとしている。関係者によると、所得の大半は記念オケの業務で得た手数料だったとみられる。川岸被告は記念オケの立ち上げに関わり、11年5月~13年3月には県の非常勤の政策参与も務めた。

 次回公判は2月9日に開かれる。