藍染マスクを製作する永原レキさん(左)ら。「藍の魅力を再認識できる良い機会になった」と喜ぶ=海陽町宍喰浦

 奈良県立医科大(橿原市)が抽出物に新型コロナウイルスの不活化効果があることを確認した藍は薬用植物として古くから活用されており、徳島県内では染料をはじめ食品などに使われている。「阿波藍」の生産、加工に携わる関係者からは「徳島が誇る藍を世界に広げていく後押しになる」など、期待の声が聞かれた。

 藍を研究する四国大の近藤真紀教授(栄養学)によると、藍は抗炎症や鎮痛、解熱などの効果があるとされ、中国で2千年以上前から漢方薬として使われている。日本には遣唐使(7~9世紀)により伝わったとされ、かぶれ防止に効くとして農作業着などに使われたほか、種を薬として服用していたという。近藤教授の研究でもラットに葉を与えると血糖値や体脂肪、血液中の中性脂肪を下げる効果が分かっており、「万能薬とされてきた藍の機能を再認識した」と話す。

 食用藍の普及や商品開発を行うボン・アーム(徳島市)の三谷芳広社長は「新型コロナにも効果があるのではないかと思っていた。科学的に証明されてよかった」と喜ぶ。藍葉のお茶やビスケットなどを商品化しており、「他の食品の味を邪魔しないのでいろんな商品に応用できる。新商品開発へ連携できる企業を増やしていきたい」と意気込んだ。

 東京五輪・パラリンピックの大会エンブレムへの採用や、文化庁の日本遺産認定で「阿波藍」への注目は高まっている。海陽町で藍染スタジオを経営し、藍染のマスクやベビー服を製作販売する永原レキさんは「文化や伝統面での藍の魅力発信はここ数年で少しずつ形になってきた。そこに新たな魅力が加わった。藍染製品の需要も増えるだろう」と言う。

 奈良県立医科大などの研究では「みのりの森藍生産組合」(美馬市)が生産した藍が使われた。日浦聖人組合長は「コロナの猛威はまだ収まりそうになく、藍が感染防止対策になればうれしい。さらに良い藍を作りたいと、モチベーションも上がった」と語った。