徳島県の「とくしま国民文化祭記念管弦楽団(とくしま記念オーケストラ)」事業に絡み、音楽プロダクション「アンサンブル・セシリア」(東京都渋谷区、解散)と元代表取締役川岸美奈子被告(58)が法人税法違反などの罪に問われている問題を巡り、飯泉嘉門知事は28日の年末会見で、川岸被告を県の政策参与に任命した責任などを認め「心から反省し、おわびしたい。大変に申し訳なかった」と謝罪し、頭を下げた。
知事は謝罪の理由について、政策参与の任命責任のほか、文化事業がクラシックに偏重したり、外部団体に造った基金の運用による不透明な事業費の流れが県民の疑念を招いたりしたことを踏まえたと説明した。記念オケ問題を巡っては、これまで県の責任を認めておらず、踏み込んだ姿勢を示した。
その上で、責任の取り方として「今後、県民主役の芸術文化をしっかりやっていくことだ」と述べた。
一方、川岸被告が県事業に関わるようになった経緯や知事との関係性など、依然明らかになっていない問題を調査するかどうかについては「(次回公判がある)2月9日には弁護側と検察側からの被告人質問がある。それを見守る」と言葉を濁した。
27日に東京地裁で開かれた初公判で、川岸被告は起訴内容を認めた。アンサンブル・セシリアが年間2642万~6196万円の所得を上げていたことが分かった一方、川岸被告が記念オケ事業で大きな影響力を持ち、多額の事業費を手にするに至る経緯などについては明らかにされなかった。