旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに不妊手術が繰り返された問題で、徳島県内の女性が知的障害を理由に65年に10代で手術されたとする記録が、女性の入所施設に残っていることが施設責任者への取材で分かった。旧厚生省の資料では、県内で391人が不妊手術を施されたとの記録が残るものの、詳しい実態を示した資料は見つかっていなかった。
女性は既に亡くなっており、不妊手術の記録は、女性が入所した際に施設側が本人や親族から聞き取りした内容が記されている。特記事項の欄には「17歳だった65年に優生手術を済ませた」という趣旨の文言がある。施設責任者によると、女性の下腹部には手術痕があり、入所時から生理がなかった。
旧厚生省の資料では、県内では51~74年に391人が手術を受け、57~63年の7年間に全体の85%に当たる332人が施術された。女性の手術が行われた65年の手術件数はゼロとなっており、資料に示された人数を上回る施術が行われた可能性が高まった。
女性が入所していた施設には現在、下腹部に手術痕がある60~70代の女性が数人いる。そのうち60代の2人に関しては、施術の時期や年齢は記されていないものの「優生手術済み」と記された調査書が残っている。
施設は、非人道的な当時の実態を若手職員に知ってもらおうと過去の記録を探していた。
旧優生保護法を巡っては、手術を受けた人が国に損害賠償を求めて提訴したり、実名記録が見つかったりするなど全国で問題化している。