徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 おたふくかぜは流行性耳下腺炎とかムンプスと呼ばれるムンプスウィルスによる感染症です。おたふくかぜは3~4年毎に流行します。昨年は大きな流行が見られました。今月はおたふくかぜについて考えてみました。

 おたふくかぜウィルスは耳下腺や顎下腺などの唾液腺に感染しますから唾液の中に分泌されたウィルスが飛沫感染や接触感染で伝染します。潜伏期間は2~3週間(平均16~18日)で、耳下腺、顎下腺、舌下腺などの唾液腺、膵臓、精巣、卵巣、腎臓、中枢神経、心臓などに感染することが知られています。

 おたふくかぜの主な症状は耳下腺が腫脹することと痛みです。耳下腺の腫脹は発病後1~3日がピークで、その後3~7日かけて消退します。ウィルスは耳下腺腫脹の1~2日前から腫脹後4~5日間排出されると言われます。従って発病後1週間ほどは集団生活を避ける必要があり、耳下腺の腫脹が無くなれば登校・登園などが可能となります。

 おたふくかぜには多くの合併症があり、精巣炎、卵巣炎、膵炎、腎炎、髄膜炎、感音性難聴などが挙げられます。合併症の中で最大の問題は感音性難聴です。多くは片側の難聴ですが、発生すると高度の聴力障害を来しますが、注意していないと難聴の発生に気付いていない場合があります。

 またおたふくかぜはウィルス性髄膜炎の原因として発生頻度が高いことが知られています。髄膜炎の症状は発熱、頭痛、嘔吐です。ただしおたふくかぜ髄膜炎は比較的予後良好の疾患ですからあまり神経質になることはありません。いずれにしてもおたふくかぜに罹らないこと、予防が大切です。