徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 おたふくかぜはウィルス感染症です。罹ってしまえば特別に有効な治療法はありません。治療は耳下腺腫脹に伴う痛みや発熱を軽減する対症療法が中心になります。

 おたふくかぜには髄膜炎や難聴などの合併症が発生することが知られています。このうち髄膜炎は比較的頻度の高い合併症ですが、後遺症を残すことは少なく予後良好であるとされます。これに対して難聴の発生は多くが片側性ですが、高度の聴力障害が永続的に残り、予後の悪いことが知られています。これらの合併症を起こさなくするにはおたふくかぜの予防が最も重要です。

 おたふくかぜを予防するにはまずワクチンです。おたふくかぜワクチンは生ワクチンで、生後1歳と就学前に接種することが勧められますが、まだ定期接種としては認められていません。これはワクチンの副反応によるものです。おたふくかぜに髄膜炎の合併が多いように、ワクチンにも同様の副反応が出現する可能性があります。

 1989年に麻疹・風疹とおたふくかぜの混合ワクチンMMRが定期接種として採用された時に、おたふくかぜワクチンによる髄膜炎が沢山発生しました。その結果MMRが使用中止になった経緯があります。

 現在、欧米で使われているワクチンは副反応が少ないとされますが、効果の点や日本人での副反応の頻度など未だ解決されていない問題があり定期接種にはなっていません。ワクチンが定期接種になればおたふくかぜの流行がなくなり、合併症で苦しむ子どもたちが減ります。早期におたふくかぜワクチンを定期接種にしてもらいたいものです。