徳島を元気にする事業アイデア・プランコンテスト「とくしま創生アワード」の最終審査会が22日に開かれる。5回目となる本年度は59件(昨年度比9件増)の応募があり、書類審査を通過した9件と学生賞1件が最終審査に進む。昨年度の最終審査に挑戦した10組の中から、計画の実現にまい進する3組の近況を紹介する。 

 とくしま創生アワード 徳島県、徳島新聞社、徳島県信用保証協会、徳島経済研究所、徳島大、徳島文理大、四国大でつくる実行委が主催。県内外から徳島の活性化につながる事業アイデア・プランを募った。県ゆかりの経営者ら18人がサポーターを務め、審査や支援に携わる。本年度は、事業の進ちょく状況と規模で分けた3部門で募集。応募の内訳は▽アイデア29件▽プランI(年間売り上げ目標1千万円未満)10件▽プランII(年間売り上げ目標1千万円以上)20件で、学生賞の対象はこのうち6件だった。阿波銀行、徳島大正銀行、JAバンク徳島が協賛している。

■一般社団法人旅の栞(阿波市)要介助者向け民宿「旅の途中」運営

設備を拡充 より安心

 一般社団法人旅の栞(阿波市)代表理事の榎本峰子さん(43)は、介助が必要な障害者や高齢者が安心して宿泊できる民宿「旅の途中」の運営を通し、障害の有無を問わず旅行を楽しめる社会の実現を目指すプランを披露した。旅の自粛が続いたコロナ禍の一年を、情報発信や施設改良といった先を見据えた取り組みに力を注ぐ時間に充てた。

全国的な情報発信や宿の設備拡充に力を入れる榎本峰子さん=阿波市内

 20年近く障害者と高齢者の施設で働き、旅行を諦める人を多く目にしてきた榎本さん。自身の知識と経験を生かし、この課題を解決しようと2019年4月、障害者福祉施設や介護タクシー業に携わる仲間と共に古民家を改修した民宿を開業した。バーベキュー大会や見学会など毎月のようにイベントを実施。宿泊とフリースペースの貸し出しを合わせて、これまでに100人程度の利用があった。

 観光で利用する県外客だけではなく、県内のリピーターもできた。県内客は自立支援の一環としての利用が多く、要望に応じて専門のスタッフを置く。マンツーマンのサポートを受けながら料理や運動など、思い思いに過ごせるのが他にはない魅力で、普段とは違う環境で過ごす時間が息抜きになると好評だという。

 創生アワードを通じ、やりたいことが鮮明になったという。最終審査後、県信用保証協会の担当者からの助言で、観光業をメーンに据えていたプレゼンテーションを「観光」「介護・福祉従事者支援」「障害者を雇用する企業のコンサルタント」の3本柱構成へと進化させ、昨年、複数のビジネスコンペに挑んだ。

 その結果、日本政策投資銀行主催のコンペで最優秀賞、全国の女性起業家表彰「J300アワード」では優秀賞に選ばれた。「コロナ禍にできる最善策は、多くの人に知ってもらうことだと考えた。全国各地の人が事業に興味を持ってくれ、支援者や人脈が増えた」と成果を口にする。

 賞金は、各部屋へ空気清浄機を配備したり風呂とトイレを改良したりと環境整備に充てた。秋以降は受け入れを1日1組に限定し、より安心して利用できるよう受け入れ体制を整えた。

 今後は県内の高齢者や障害者施設に利用を提案していく。「一組一組を大切にして、地元のお客さまにしっかりとサービスを届けていきたい」と力を込めた。