働く人の心身を健やかに保つため、職場でのメンタルヘルス対策の必要性が近年叫ばれている。従業員のストレスに対する往診緩和ケアや、職場の状況把握に基づく労務リスクの早期発見などの各種サービスを提供する会社を大阪市に設け、事業定着に奔走している。
「働き方にまつわるニュースや制度改正が相次ぎ、メンタルヘルス対策への関心はこの上なく高まっている。労使双方に意義のある処方箋を提供し、職場環境を改善する手助けをしたい」と言う。
徳島市で生まれ、3歳の時に大阪で事業を興していた祖父の下に移った。大学卒業後、求人情報を手掛ける大阪の会社に入り、赴任先の東京でも仕事をしたが、10年勤めて退職。大阪に戻ろうと考えていた際に声を掛けられたのが、インターネット上に出回るネガティブ情報を削除するIT関連の会社だった。
業務を続ける中で、メンタルヘルス対策の重要性を感じるように。会社の新規事業にしようと経営者を説得し、昨年10月、別会社のM&Pラボラトリーを立ち上げた。「社会的関心が高い事柄なので、毎日複数の会社から照会がある。契約も順調に進んでいる」と充実感をにじませる。
「新規事業を手掛けたいというのは祖父の影響。自分で意思決定して結果を出してきた姿に憧れがあるし、自分が選んだ道だからこそ情熱を傾けられる」。祖父譲りの独立心が、新たな事業を生み出す原動力となった。
徳島は幼いころに離れたが、ずっと親近感を持っている。「徳島の自然に包まれると落ち着くし、ゆくゆくは戻ってもいいかな」と話しながら「徳島の素晴らしい環境はメンタルヘルス対策との親和性が高い。サテライトオフィス(SO)をその分野で活用できるのではないか」とアイデアを語った。
おちあい・ひろき 徳島市出身。関西学院大卒。求人情報関連の会社を経て2012年、リブレット(現CIN GROUP)に入る。同社大阪支社の責任者も務める。大阪府豊中市在住、38歳。