徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
水痘はみずぼうそうとも言われ、ヘルペスウィルスに属する水痘・帯状疱疹ウィルスによって発病します。このウィルスは大変伝染力の強いウィルスで集団生活の中で発生すると感染が拡大することがあります。
また水痘に罹ると治った後もウィルスが神経節に住みつき、長い年月の後に帯状疱疹を発症することがあります。今月は多くの問題を持つ水痘について考えてみました。
水痘はワクチンで予防できる病気です。現在、水痘ワクチンは定期接種になっていますから、多くの子どもは水痘ウィルスから守られています。しかしワクチンを受けていない年長児や水痘に罹ったことのない人は水痘ウィルスに感染すると発病する可能性があります。このような感染発病の可能性がある人が一定数存在すると水痘は流行を繰り返します。
水痘の潜伏期間は約2週間です。空気感染、飛沫感染、接触感染によって伝染します。伝染力は麻疹と同じくらい強いとされます。
水痘の主な症状は発熱と発疹です。発疹は小紅斑、水疱、膿疱、痂皮の順に変化しますが、これらが同時に混在します。水痘の発疹はかゆみを伴うためにかき傷を作りやすく、二次的な細菌感染を起こすこともあります。
水痘は重篤な基礎疾患があると重症化し、致死的な経過をとることがあります。白血病、がん、ネフローゼ症候群や膠原病など抗がん剤、ステロイド剤、免疫抑制剤の治療中に水痘に罹ると非常に危険です。健康な子どもが軽く終わったからと言って水痘は軽い疾患であると決めつけることは出来ません。