とびきり明るい話題なのに、なぜだかほろりとした。本紙地域面の記事が過日伝えた藤原莞大君への賛辞が絶えない。病気や事故で髪を無くした子どものため、髪を寄付する社会貢献活動「ヘアドネーション」に協力した徳島市の小学5年生

 藤原君はテレビ番組でヘアドネーションを知り、散髪するのをやめた。2年2カ月。「女の子みたい」とからかわれ、悔しくて泣いたこともある。でも辛抱した。「病気の子の方がもっとつらいはず。僕が髪をあげないと、つらい子が増えてしまう」。何と気高い意志だろう

 若くして髪を失っても好奇の目にさらされずに暮らせる。そんな望ましい社会に、現実は追い付けていない。ひきこもりや自死を図った事案もあると聞く

 藤原君が協力したプロジェクト「つな髪」は、大阪市の会社が運営を始めてから間もなく2年になる。寄せられた髪でウィッグ(かつら)を作り、既に200人余りに無償で贈った。「髪と一緒に失っていた笑顔を取り戻せた」と感謝する声も相次ぐ

 藤原君が届けた長さ18~28センチの善意。いつ誰のウィッグになるか現時点では分からないが、きっと誰かの心を救うことになる

 彼はまた髪を伸ばし始めた。「中学生になるまでにもう一度寄付する。髪は前より短いかもしれないけど」。藤原君、おじさんはまた泣けてきた。