HACCPを取得した阿波市場の本社加工場=鳴門市瀬戸町(同社提供)

 鳴門わかめの加工販売を行う阿波市場(鳴門市)が、米食品医薬品局(FDA)の規格に基づき、国際的衛生管理基準「HACCP(ハサップ)」の認証を取得した。認証機関の一般社団法人大日本水産会(東京)によると、徳島県内で水産加工業者のHACCP取得は2例目で、ワカメ加工では初めて。認証を付加価値として首都圏や関西圏での販路拡大を目指す。

 認証を受けたのは鳴門市瀬戸町の本社加工場。同市北灘町と小松島市和田島町の加工場でボイルや塩蔵処理をしたワカメの選別、乾燥加工、検品、袋詰めを行っている。

 認証取得に向けて検討チームを編成し、作業動線の見直しや、衛生管理のマニュアル作成などを進めた。窓をプレートで覆ってほこりや直射日光の影響を軽減させる施設改修も行い、大日本水産会による現地審査などを経て昨年12月に取得した。

 施設改修やコンサルタント料など事業費は約1500万円。販売強化のための資金も含め、一部費用は県信用保証協会の保証付き融資を受けた。

 同社は2008年創業。塩蔵、乾燥加工した鳴門わかめを主に都内のスーパーや飲食店に出荷している。20年東京五輪・パラリンピックや環太平洋連携協定(TPP)発効を控え、国が食品事業者にHACCP認証取得を義務付ける方針のため、先駆けて取り組むことにした。

 上野伸介社長は「国際基準の認証があると取引先や消費者に安心安全を伝えられ、他社との差別化となる。メリットを最大限に生かしたい」と話した。