デジタル機器があふれる現代社会を生きる若者の間で、アナログで心揺さぶられる体験を楽しむ「AE(アナログ・エモーショナル)消費」がひそかなブームとなっている。この連載では徳島で体験できる古き良きものを、われわれチーム「HACK」が10代、20代の視点で紹介していく。

 
 

 AE消費の3回目、最終回の今回はインスタントカメラを取り上げる。

 皆さんはインスタントカメラをご存じだろうか? フィルムを使ったカメラで、コンビニなどで手軽な値段で買える物も多い。

 デジタルカメラやスマートフォンのカメラ機能が普及した近年ではフィルムカメラ利用者は減少傾向にあったが、最近20代の女性を中心に富士フイルムの「チェキ」に代表されるインスタントカメラが再び人気となっている。

 フィルムカメラを使うとデジタルカメラにはないレトロさを味わえるだけでなく、現像した写真をSNSに載せると多くの若者らの共感を得られるようだ。

 チェキには現在社会現象になっている大人気漫画・アニメ「鬼滅の刃(きめつのやいば)」とコラボした商品もあり、より幅広い層に浸透している。

 このように再び注目を集めているインスタントカメラを体験し、その魅力と奥深さを伝えていこうと思う。

 インスタントカメラ 撮影直後に自動的に現像を行う専用フィルムを使ったカメラ。撮ったその場で写真を見ることができる。日本では富士フイルムが「フォトラマ」「インスタックス(チェキ)」といった商品を販売している。

 

 今回われわれが撮影場所に選んだのは徳島市の徳島中央公園だ。いつも見る景色も、レンズを通して見ると心なしか違った雰囲気に感じられ、人々の言う「レトロさ」を早速味わうことができた。

 当たり前のようにデジタルカメラやスマホを手に持っているからこそ、インスタントカメラの面白さに気付けるのだと感じられる。

 道中、道端の猫をレンズに収めることすらも新鮮に感じ、同時に子どもの頃に感じた懐かしさすら覚えることができた。このレトロさと懐かしさが若者に支持されていることが実感できた。

 
 

 

 公園内のバラ園では、12月の凍える気候の下でも一面にバラが咲き誇る絶景が広がっていた。スマホ片手に写真を撮る人々の中で、インスタントカメラで撮ったバラの写真は一層価値のある1枚に感じられた。

 スマホのカメラ機能でも撮ってみたが、特別さは感じられなかった。もはや日常の一部になったデジカメやスマホでは、特別な思い入れを感じられないのかもしれないと思った。

 インスタントカメラには、当たり前のように広がる景色を特別な一枚にする力がある。その特別を堪能することが面白くて楽しいのだろう。

 

 小学生の頃、修学旅行先でインスタントカメラを使った撮影を経験した人は多いのではないだろうか? 今回の体験ではそんな子どもの頃の懐かしさや、カメラのレンズをのぞいて写真を撮っていた時の楽しさを思い出すこともできた。

 新型コロナウイルスがまん延して外出することがはばかられる現在の状況下でも、インスタントカメラを使えば家の中の小物や部屋、窓から見える景色といった当たり前の景色を特別なものに変えてくれるかもしれない。

 そうして撮影した写真をSNSにアップして、多くの共感を得るのもまた楽しみの一つだろう。

 時代が変わるのにつれてそのあり方を変化させ続けてきたインスタントカメラ。現代ではただ撮影するという行為のみに収まらず、懐かしさや特別さを感じられたり、SNSで活躍したりする様子も見られる。そんな特別な体験を、皆さんもこの機会にぜひ味わってみてはいかがだろうか。

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 ここまで3回にわたってAE消費についてお伝えしてきたが、いかがだっただろうか。

 常に新しいものが生まれ続ける現代において、古き良きものをいま一度体験することで、その楽しさや面白さ、奥深さに気付けるはずだ。

 今回お伝えした「伝統工芸」「活版印刷」「インスタントカメラ」の他にも、AE消費にはさまざまなものが存在する。興味を持たれた方は、ぜひ体験していただきたい。

■HACK(最優秀賞)=曽我部泰嵩、中山綾菜、山田千代、松原圭佑(以上グラフィックデザインコース1年)鍬田了護(情報システムコース1年)

最優秀賞に輝いたHACKのメンバー