徳島県内のトップ銀行の頭取に1日就任した。9年ぶりとなる交代の発表から1カ月余りがたち、「お客さまからの期待は大きい。重責をひしひしと感じつつ、やらなければいけないという気持ちが強くなっている」と柔和な表情に決意をにじませる。

 目指すのは「地元に愛され、信頼される銀行」だ。経営統合などの再編を否定し、「規模の大きさを追いかけるのではなく、小さくても経営効率のいい銀行を目指していきたい」。四国の地方銀行4行が地方創生を目的に包括提携した「四国アライアンス」のネットワークを活用して収益向上を図る方針を強調する。

 県内では中小企業に景気回復の実感が乏しく、人口減少や少子高齢化が急速に進む。経済活動が先細りする中、期待する成長分野の一つに農業を挙げる。「物流や冷凍技術の発達で関西地区だけでなく、東京地区にも届けられるようになった。大きなビジネスチャンスと考えており、しっかり支援していきたい」。

 1980年に入行。支店勤務は通算約22年に及び、顧客や営業現場との近さが強み。特に印象に残っているのは、開設準備も含めて91年から約4年半携わった梅田支店だ。新規の顧客開拓を積極的に進めたが、バブル崩壊後は一転して不良債権の回収に追われた。「攻めは得意だったが、守りもできてバランスが取れた。支店長になったとき、この経験が役立った」と振り返る。

 趣味は登山。日本百名山に挑んでいたが、今後は「健康登山」で体調管理に努める。会社員の長男は県外に出ており、小松島市内で母、妻、長女と暮らす。60歳。