7歳上のスターは遠く、まぶしい存在だった。近しさを覚えたのは筆者が病を得てからかもしれない。病床で行きつ戻りつ考えた。これまでのこと、これからの生き方

 西城秀樹さんは2003年に脳梗塞で倒れた。死と隣り合わせだったという。「誰もが哲学者になれる」と自著「あきらめない―脳梗塞からの挑戦」(リベロ)にある。のうのうと暮らしてきたけれど。使命は。応援してくれる人がいる…

 そして気づく。「ひょっとして、ぼくは歌ってあげていたのではなく、歌わせてもらっていたのではないか」。ごう慢だった自分を責める気分になったともあるが、それは西城さんばかりではあるまい。病床からステージに戻ってきた。その時、どこか身近な存在に映り、懐かしさを感じた

 「新御三家」の一人。郷ひろみさんとも、野口五郎さんとも違うあの歌い方、歌声。細身で長身、長髪。デビュー当時の姿が目に浮かぶ。耳に残っている

 そんな西城さんが逝った。ヒット曲を挙げれば数え切れないが、澄み切った空を仰いで、不意に浮かんだのは、「ブルースカイ ブルー」。作詞した阿久悠さんから提供された際には、「今は分からないだろうけど、大人になったとき、きっとこの詞の意味が分かるよ」と言われたという

 <悲しみの旅立ちに…>。歌声が通り過ぎていった。