とくしま県の店でバラを購入する女性(右)=大阪市中央区南船場

 徳島県の県外初のアンテナショップ「とくしま県の店」(大阪市中央区南船場)が、オープンから20年が過ぎた。メインストリートの御堂筋に面したオフィス街の一角にあり、2017年度は約1200万円を売り上げた。量販店との競争が年々厳しさを増す中、旬の農林水産物などが購入できる場として定着している。

 店は売り場面積約15平方メートル。県が1997年7月に県大阪本部のある「徳島ビル」の1階に設け、県物産協会が運営している。なると金時やスダチなどの青果物、鳴門わかめや魚の一夜干しなどの海産物、半田そうめんやフィッシュカツといった特産品など、食品を年間約250種類取り扱う。藍染などの工芸品も置く。電話注文でも販売している。

 また、阿南、美馬、三好、美波、牟岐、海陽の6市町がそれぞれ年間12日、地元の商品を持ち寄って売り出しを行っている。

 店には、県出身の大学生や社会人が懐かしさを感じて足を運ぶほか、周囲のオフィスビルの会社員らが「普通のスーパーにはない商品がある」と訪れるケースも多い。飲食店の料理人が食材として買いに来ることもある。

 近くの輸入卸売会社に勤務する石迫知子さん(60)=兵庫県西宮市=は4月中旬に来店し、海陽町産のバラを購入。「店の前を通ったときに気になる商品があるとちょくちょく買っている。デパートより安くていい」と喜んでいた。

 年間売り上げは2003年度に1千万円を超え、07~09年度に約1600万円とピークを迎えた。ただ、10年度以降は減少傾向にある。同店によると、近辺に食材を購入できる店はなかったが、このところ高層マンションが建ち始めたことでスーパーができ、競合するようになったという。

 20年近く店頭に立つ平田典子さんは「イベントを行うなど一層アピールできれば」と話した。