5年連続で主将に選ばれ、今季の抱負を語る岩尾憲さん(中央)

 「君しかいない」。宮崎市での2次キャンプ中、パソコン画面に映るダニエル・ポヤトス監督に5年連続の主将就任を促された。卓越した戦術眼とスキル、過程と結果の両方を追究するプロ意識、戦う集団にまとめ上げる統率力。直接会ったことのない新指揮官も人選に迷いはなかった。

 即答は避けたが、心は決まっていた。ハイレベルなJ1では昨季のように勝ち星を重ねられないかもしれない。「バトンを引き継いだ若手が批判にさらされ、『やはり主将は岩尾が良かったんじゃないの』という話が出る恐れがある。そういうリスクがあるなら自分が打たれればいい」。昨季終了後、主将ならではの孤独と苦悩を吐露しながら、今季も自分が矢面に立つことをいとわなかった。

 組織づくりで心掛けるのは、信頼で結ばれる双方向の人間関係がどれだけ密にあるか。「そのためには人をよく見て変化に気付くこと。良い日もあれば悪い日もある。干渉すべきか、距離を置くべきか、アプローチの仕方もいろいろある」

 新型コロナウイルスの影響で新規外国人が入国できず、ポヤトス監督不在のまま開幕を迎える事態にも悲観はしていない。「誰のせいでもない。オンラインでのミーティングで細かく示してくれる課題をクリアしつつ、自分たちで考えながらうまく『作品』をつくっていく」と決意を固める。

 2013年に湘南で経験して以来、自身2度目となるトップリーグ参戦に心は躍る。「年齢的にもJ1でやれる時間は長くない。一試合一試合が貴重で、密度の濃い舞台になる」

 群馬県館林市出身。休日前夜にはスイッチをオフにし、酒とおいしい料理を楽しんでリフレッシュする32歳。もうすぐ4歳になる長男とボールを蹴る際は父親の顔になり、ゴールキーパー役となる。