金ちゃんヌードルと田中忠德社長=徳島市南二軒屋町の徳島製粉

金ちゃんヌードルの製造ライン=徳島市南二軒屋町の徳島製粉(同社提供)

 製粉麺類製造・徳島製粉(徳島市) 金ちゃんヌードル

 1973年の発売から48年にわたって愛され続けるロングセラー商品。白地に赤と黄色のポップな書体が躍る、レトロなデザインのパッケージが目印だ。西日本を中心に販売され、根強いファンが多い。

 「飽きがこず、何度でも食べたくなる味」が特徴という。しょうゆベースのあっさりとしたスープに、肉エキスを練り込んだコシのある麺。卵やエビ、シイタケといった5種類の具材が相まって、発売当初からほとんど変わらない味わいを生み出している。

 購入者からは「いつもの味を守ってほしい」との声が多く寄せられる。仕入れ先の都合で原料を変更せざるを得なくなっても、元の味と変わらないように細かな調整を繰り返してきた。

 田中忠德社長(68)は「麺を延ばす機械を切り替えただけで、『味が変わった』と指摘を受けたことがある」と振り返る。

 43年創業。徳島製粉の社名が示す通り、小麦粉の製造販売会社だ。即席麺の研究は、新たな収益源を模索するため始めた。

 「原料の小麦はほとんどを輸入に頼り、国が流通量や価格を管理していた。そのため、2次加工品に企業発展の可能性を求めたようだ」。田中社長は、妻の祖父で創業者の故田中殖一(ふいち)氏の思いを語る。大手製粉会社がパン屋の系列化を進めるなど、競争激化による売り上げ減少への危機感もあった。

 65年、自社の小麦粉「金鶴」から名前を取った袋入り即席麺「キンツルラーメン」(後の「金ちゃんラーメン」)を発売。続いて、日清食品のカップヌードル(71年発売)に触発され、カップ麺を開発した。

 差別化しようと、容器を持っても熱の伝わりにくい二重構造にし、しっかりと閉まるふたを採用した。麺も、食べ終わるまでに8分程度かかると想定して、伸びにくいよう原料の配合や製法を工夫した。その結果、アウトドアや農作業時、船上などで重宝されている。

 広く浸透した背景にPR戦略がある。テレビCMに萩本欽一さん、西川きよしさんと横山やすしさん、今いくよ・くるよさんら有名人を数多く起用した。

 今年で25年目となる「現金1万円が当たるキャンペーン」も人気だ。抽選で年間2500人に幸運が訪れる企画には、中四国地方や東海地方、沖縄県などからの応募が多い。応募数は販売量に比例している。特に沖縄では、本土復帰後に営業活動を展開して販売を始めた。県民にとってソウルフードのように人気が高いという。

 2年後に発売50周年を迎える。田中社長は「皆さんに喜んでもらえる記念企画をやりたい」と考えを巡らせている。

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 徳島県内の企業には多くの人や業界に支持されている商品やサービスがある。どのような発想やコンセプトで生まれたのか。どうやって広く浸透させたのか。開発者や経営者に思いを聞き、ヒットの裏側を探る。