徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 アナフィラキシーは原因物質が体内に侵入するとマスト細胞からヒスタミンを代表とする化学伝達物質が急激に放出されることによって発生する状態です。

 化学伝達物質の作用には血管透過性の亢進、平滑筋の収縮、腺分泌の促進などがあります。これらの作用によって蕁麻疹、浮腫、鼻閉、喉頭浮腫、血液分布異常によるショック、喘息発作、鼻汁、喀痰増加などが起こります。中でもヒスタミンは毛細血管拡張作用によって皮膚発赤、潮紅、血圧低下を引き起こします。アナフィラキシーには80%以上の症例に皮膚・粘膜症状を伴うとされます。喉頭浮腫が発生すると窒息してショックが遷延することで重症化します。本症による死亡原因は窒息とショックが約半数を占めます。

 アナフィラキシーは症状の発現および消失に関わる時間経過が速いのが特徴です。臨床症状からアナフィラキシーを疑えば速やかに治療に取り掛かる必要があります。アナフィラキシーに特異的な検査はありませんから気道、呼吸、循環、神経・精神症状、皮膚・粘膜を速やかに観察して対応を決定します。

 急性期に喉頭浮腫やショック症状が疑われる場合には速やかに治療の第一選択薬アドレナリンを投与します。アドレナリンは血圧上昇、強心作用、末梢血管収縮作用、気管支拡張作用があり、血圧低下や喉頭浮腫を速やかに改善します。ショック症状には大量の輸液を行います。アドレナリンの効果は短時間ですからステロイド剤を追加し、皮膚・粘膜症状には抗ヒスタミン剤を使用します。

 症状が改善すれば原因検索を進めます。