アメリカンフットボールの選抜大会をボウルゲームという。このボウル、サラダボウルのボウルであってボールではない。スタジアムがおわんの形に似ていたことからついた呼び名だ
アメフットは、サッカーとラグビーを源流に19世紀後半、米国の大学生が考案した。選手同士の、サラダをかき混ぜたような激しい当たりが国民気質に合ったのか、すぐ人気スポーツとなった。ところが競技の特性からけがは絶えず、毎年のように死者が出る
国としても捨て置けない。一時は大統領が禁止令を検討し、より安全なルールの策定と防具の使用を条件に継続が許された。1906年のことだ。アメフットは出自からフェアプレーが義務付けられている
無防備の選手に背後から強烈なタックルを仕掛ける。一歩間違えれば半身不随になりかねなかった。関西学院大との定期戦で日本大の選手が犯した悪質な反則行為である。もはやスポーツに名を借りた傷害事件だ
大学の常務理事でもある監督の指示だった、との情報もある。関学大への回答書では否定したものの、真相はどうなのか
問題の試合から2週間近くたつのに、責任者の直接の謝罪もまだ。「甲子園ボウル」で21回の優勝を誇る名門日大の誠意を疑う。ボウルの中で何とか事態を丸く収めたいのだろう。到底、それで済む話ではない。