通学路の死角を完全になくすのは難しい。ならばどうするか。事件は、社会に新たな対策を迫っている。

 新潟市で小学2年の女児(7)が殺害、遺棄された事件である。死体遺棄と死体損壊の疑いで、近くの会社員の男(23)が逮捕された。殺害についても認めているという。

 下校中の女児を車で連れ去り、首を絞めて殺し、線路内へ放置して列車にひかせた残忍な犯行だ。家族の悲しみは察するに余りある。

 13歳未満の子どもが狙われた略取誘拐事件は、昨年だけで72件あった。この10年、年60件台から100件台で推移しており、いつ、誰が巻き込まれてもおかしくない状況が続いている。

 徳島県内でも不審者の声掛け事案などが後を絶たない。女児と同じ年ごろの子どもを持つ保護者は、決して人ごとではない、と身も震える心地だろう。

 男は、車で女子中学生を連れ回した県青少年健全育成条例違反容疑で4月に書類送検されたばかり。事件翌日には関与の疑いが浮上した。なぜ凶行に及んだか、警察には徹底的に解明してもらいたい。

 文部科学省の調査によると、2015年度、ほぼ全部の小学校が、防犯や交通安全の観点から通学路の危険箇所を点検した。半数以上の学校は、子どもに「安全マップ」を作らせ、危ない場所を自覚させている。保護者やボランティアによる同伴、見守りも89%が取り組んでいた。

 それでも、不測の事態を防ぎ切れていないのが実情だ。

 女児の通う学校でも地域ボランティアによる登下校の見守りを実施している。だが、担当していたボランティアが高齢で引退したため、女児の行方が分からなくなった踏切付近には空白ができていた。

 女児は踏切で友人と別れて1人になった後、自宅までのわずか約300メートルで被害に遭ったとみられる。

 別の場所で見守り活動を続ける男性は「スタッフは大半が65歳以上。高齢者が多く、できることには限界がある」と本音を明かす。同様の悩みを抱えたボランティア団体は少なくないはずだ。

 通学路の安全対策を巡っては、子どもが絡む事件が起きるたび、警察や学校、地域住民による強化を求める声が上がる。だが、これまでの事件が示すのは、全ての地域や時間帯をカバーするのは、ボランティア頼みでは不可能だということである。

 昨年3月、千葉県松戸市の小3女児が殺害された事件も1人で登校中だった。

 地域の防犯活動に詳しい守山正拓殖大教授(犯罪学)は「子どもを1人で歩かせるのは、危険な状況を放置しているのだという認識を社会全体に広げることが必要だ」と指摘する。

 児童を送迎するスクールバスの導入なども考えるべきではないか。経費の問題は二の次にして、まずは最善の方策を探りたい。