本店発券局企画役から徳島事務所長に就任した。地方勤務は日銀に入った翌年の静岡支店以来で、公私ともに徳島に来たのは初めて。「地元の皆さんと親しくさせてもらい、経済や金融の情報を積極的に収集したい」と意欲を見せる。

 徳島事務所では、県内経済の情報を収集・分析し、「金融経済概況」を月1回、「企業短期経済観測調査(短観)」を年4回公表している。日銀といえば、金融政策を決める金融政策決定会合が注目されがちだが、各地の事務所や支店が本店に上げた情報が政策運営の判断材料になっており、その役割は大きい。

 「企業や金融機関、行政などを回り、現場主義に徹して生の声を聞きたい」と口元を引き締める。

 銀行員だった父親の影響もあり「銀行の中でも日本経済に広く貢献できる」と日銀へ。金融機関の調査などを担当する考査局(現・金融機構局)や、紙幣の発行・流通を管理する発券局などを歴任した。

 考査局では、バブル崩壊後の銀行の経営状態などを調査。多額の不良債権を抱える銀行がある地域では産業が活気を失い、金融機関の経営状況が地域経済に与える影響を目の当たりにした。発券局時代には東日本大震災が発生、被災した住民や金融機関への現金の払い出しや紙幣の交換などのサポートに当たった。

 徳島の産業について「世界的な製造業が複数ある一方、女性の活躍や、高速通信網を生かしたIT企業の立地が盛ん」と評価する。「農林水産業や伝統産業も多彩で、発展の芽はある。これまでの経験を生かしながら、地域の発展を共に考えていければ」

 休日は軽登山や寺社巡りを楽しむ。妻と長女、次女を都内に残して単身赴任。51歳。東京都出身。