個展の準備を進める宮本さん=徳島市内の自宅

 東日本大震災の発生から3月11日で10年を迎えるのに合わせ、宮城県東松島市出身で徳島大4年の宮本萌(めい)さん(23)=徳島市=が「数字でみる東日本大震災」と題した個展を3月9日から同市のギャラリーで開く。被災状況を伝える写真などは置かず、犠牲者の数など震災にまつわる数字とその説明文だけを記したパネルを並べる。「記録で記憶を補い、いま一度震災を振り返ってほしい」と話している。同14日まで。

 「14:46」「15899」「40・5」・・・。地震の発生時刻(14時46分)や、地震・津波による直接的な死者数(1万5899人)、津波が到達した陸上の最も高い地点(40・5メートル)といった数字を大きく記し、説明文や宮本さんの意見を添えたパネル約30点を掲示する。

 死者数のパネルには「1万5899人の生命が奪われた一度の事件ではなく、1万5899度の事件。それぞれに違った悲しみや想(おも)いがある」と書いた。岩手県釜石市で津波を観測した時刻を示したものには「地震発生後の26分間をどう捉えるか。避難に十分な時間でしょうか」と問い掛けている。

 東北の美しい自然の風景などの写真も展示する。「『東北イコール被災地』というイメージがどうしても先行している」との思いから、津波や地震による被災状況を伝える写真は用意しなかった。「東北を知るきっかけが震災である必要はなく、魅力を知った上で被災地や防災に関心を持ってもらう方がいい」と言う。

 会期中は毎日、地震発生時刻の午後2時46分から震災体験を語る。宮本さんは当時中学1年生で、帰宅しようと校庭に出た直後に激しい揺れに襲われた。避難した校舎にはやがて黒く濁った水が押し寄せ、1階は2メートルほどが浸水。学校で4日間過ごした後、避難所を経て床上浸水して大規模半壊した自宅の2階で生活した。

 「言葉としての『津波』しか知らなかった。明治や昭和の三陸津波など過去の災害が歴史になっていた」と当時を振り返る。10年の節目を、南海トラフ巨大地震の発生が懸念される徳島県で迎え、「好きな徳島が東北と同じ被害に遭うのは見たくない。震災の記憶が残り続ければ、次の災害時に被害を減らせる。その日に後悔しないよう、できる限りの力を尽くしておきたい」と語った。

 個展は午前10時~午後7時、徳島市東船場町1の国際東船場113ビル2階にある新町川文化ギャラリーで。入場無料。