徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 日本は2015年3月にWHOから麻疹排除国に認定されました。麻疹は症状がとても重い感染症で罹ると治療法のない疾患です。麻疹排除宣言がなされて日本から永久に麻疹が無くなってしまうと誰もが信じていました。

 しかし昨年、関西国際空港の職員が海外旅行で持ち込まれた麻疹に罹ったことをきっかけに、空港職員、救急隊員、病院の医師など30数名が麻疹に罹ったことは記憶に新しいことです。さらに今年は山形の自動車学校の免許合宿から発生した麻疹の拡大は現在も進行中です。麻疹が発生すると2次感染から3次感染、4次感染へと拡大していきます。

 麻疹は免疫のない人が罹ると大変重い症状を示すウィルス疾患です。昔は多くの人が麻疹で命を落としていました。麻疹撲滅は小児科医の悲願ですから2015年の麻疹排除宣言は大きな喜びでありました。

 現在流行中の麻疹から日本固有の麻疹ウィルス遺伝子は検出されていません。ウィルスはすべて外国から持ち込まれたことが明らかになっています。外国からの麻疹ウィルスでも日本で流行が蔓延することになれば麻疹排除宣言は取り消しになります。

 麻疹の予防にはすべての国民が麻疹に対する抗体価を獲得して麻疹ウィルスの侵入を阻止する必要があります。現在の小児はほとんどが麻疹ワクチンを2回接種しています。若年成人の中にはワクチンを1回しか接種していない人や全くワクチンを接種していない人が居ます。若年成人は社会の中心で働き、子育ての中心になる人たちですから、自分のワクチン接種歴や麻疹に罹ったことがあるのかを知っておくことが大切です。