3月7日開催の「みちのくプロレス徳島大会」に向け思いを語る新崎さん=徳島新聞社

3月7日開催の「みちのくプロレス徳島大会」への来場を呼び掛ける新崎さん=徳島新聞社

 震災の教訓をあらためて古里・徳島の人たちに伝えたい-。東北を中心に活動する「みちのくプロレス」所属で徳島市出身のプロレスラー新崎人生さん(54)=仙台市宮城野区=が3月7日、徳島市のとくぎんトモニアリーナで開かれる徳島大会のリングに上がる。自身も被災した2011年3月11日の東日本大震災から10年となるのを前に「あの日を忘れない」と銘打ち開催される大会。同団体のコミッショナーも兼任する新崎さんに大会にかける意気込みや意義を聞いた。

 ー「3・11」を前に徳島で大会を行う。

 東日本大震災から10年という節目。被災地だった岩手に本社がある団体として、防災意識を啓発し続けなければならないという思いから、コロナ禍ではあるが開催する意義があると考えた。南海トラフ巨大地震が30年以内に70~80%の確率で起こると言われており、徳島も無関係ではない。徳島大会は27年前からほぼ毎年行ってきたが、今回実際に被災した選手たちが訴えることで、どうすれば災害時に命が守れるかということを伝えたい。

 ー震災当時を振り返って。

 発生時は仙台市の中心部にいた。経営するラーメン店のガスや電気が止まったものの、幸い一週間ほどで復旧できた。しかし津波に襲われた地域の被害は比べものにならないほど大きかった。沿岸方面へ車で15分走ったら、家屋や車が押し流されたり打ち上げられたりしており津波の恐ろしさを痛感した。津波が来たら何をすればいいのかを知っているだけでも多くの命を救うことができるはずで、そのことも知ってもらいたい。

 ー復興支援活動も積極的に行った。

 当時、命も仕事もある立場として「何かやらなければ」という気持ちが強かった。飲食店としてできることとして、避難所や仮設住宅でラーメンを振る舞った。夏からは避難所となった学校の校庭でプロレスも披露した。心のケアも大事だと聞いた。プロレスを見ている間はつらい事を忘れてもらえればと思って各地を巡っていた。

 ー震災から10年を迎える現在の思いは。

 宮城では、津波に遭った地域の仮設住宅の住民が復興住宅に移っている。家族ぐるみで付き合いをしていた人の中には、家が流され経営していた会社を閉鎖した人もいたが、現在は定職に就いて生活を立て直している。レスラーとして東北に拠点を移して30年近くになるが、人生の半分以上を過ごした「第二のふるさと」に日常が戻ってきたのはうれしい。

 ー徳島大会はどのような大会になるのか。

 試合前に防災に関する呼び掛けをさせていただく。当時の状況や、被災者たちがどのようにして10年間で復興したかというインタビューをビデオ映像で流したい。訴えたいのは「命さえあれば全てを失っても必ず立ち直れる」ということ。その命を守るためにどういう備えをしたらいいかを真剣に考える機会になるはず。今回はコロナ対策で声援が禁止になっており、静かな雰囲気の中での大会になる。ただその分、選手の息づかいやレフェリー、セコンドたちの声がしっかりと聞こえて面白いと思う。いつもと違うプロレスの楽しみ方ができる大会になっているので期待してほしい。

 大会は午後3時から。入場料はいずれも指定席で4400~8800円(当日4900~9300円)。問い合わせはフクタレコード〈電088(652)7932〉。