2年前に東京から勝浦町三渓に移住した石川翔さん(29)、美緒さん(31)夫妻が、築107年の古民家を活用した体験型民宿を開業させた。町特産のミカンの収穫作業や、豊かな自然に囲まれた周辺地域の散策などを通して、勝浦の魅力を味わってもらう。大型連休中には民宿情報サイトで知った旅行者らでにぎわった。
地元ミカン農家から空き家だった古民家(木造2階建て、延べ130平方メートル)を借り受け、住民らの協力を得ながら2年がかりで改修した。縁側を設けて、四季折々の景観が楽しめるよう工夫するなどしている。
民宿の名称は、夫妻の飼い猫の名前などから「みかん農家の宿 あおとくる」と名付けた。
1日1組限定(定員3人)で、1泊2食付き7千円。石川さん夫妻が敷地内の畑で収穫した野菜を使い、宿泊者の要望に応じた料理でもてなす。
4月1日の開業後、中国などからの旅行者や、東京で働いていた時の同僚らが週末に利用。勝浦町を含めた地方への移住を検討している人もいたという。
連休中の今月3~6日は、京都府や兵庫県、神奈川県から3組計7人が宿泊。イチゴやホウレンソウ、サヤインゲンの収穫をしたり、火おこしを体験したりして、山村の暮らしを満喫した。
勝浦町に移住する前、翔さんは介護事務所の営業、美緒さんは芸能事務所の広報をしており、仕事に追われる日々だった。30歳を前に、2人で一緒にできる仕事はないかと、都内であった移住フェアに参加した。素朴な田舎暮らしに憧れ、2016年4月に勝浦町にIターン。民宿開業に向けて準備してきた。
石川さん夫妻は「勝浦の暮らしを体験してもらい、宿泊者と交流できたらうれしい。また来たい、と思える場所にしていきたい」と話している。
宿泊の予約は、ホームページ<https://aotokuru.com/>か、米国の民泊仲介サイト運営大手「Airbnb(エアビーアンドビー)」からできる。