鳴門市岡崎にあった造船所の様子である。撮影は大正時代の1920年ごろ。現在のような大がかりなドックがあるわけでもなく、自然の砂浜を利用した施設であった。

 写真が撮影された当時は、外洋を航海する大型船には鋼鉄船が造られていたが、内海で使用される漁船や貨物船など小型船舶のほとんどが木造船だった。

 木造船とはその名称の通り、内部構造から外壁まで全て木で造られた船のこと。その歴史は長く、木材に穴を開けて造る丸木舟などさまざまな様式の船が世界中で誕生した。

 その建造には木工の技術が必要なため、木造船を造る職人を船大工と呼んだ。木の特性を熟知し、曲面までも木だけで造れる神業を持った職人が腕を競っていた。

 写っている船は、帆柱とデッキにあるブリッジの様子から帆と発動機を併用して航走する機帆船のようだ。このタイプの船は50年代まで内海航路の主役で、県内でもよく見られた船である。

 【写真説明】砂浜を利用して木造船が建造されていた岡崎の造船所=1920年ごろ、本社所蔵写真