後半、中盤で激しい攻防を見せる徳島の選手=鳴門ポカリスエットスタジアム

 2014年3月8日。ヴォルティスが初めて鳴門でJ1戦に臨んだ7年前のこと。試合前、ビジター席を桜色に染めたセレッソ大阪のサポーターから「J1ヴォルティス!」とのコールが湧き起こった。対戦相手の粋な歓迎に鳥肌が立った。

 試合は日本代表ボランチの山口蛍にFKを決められ、後半途中からはウルグアイ代表FWのフォルランにチャンスをつくられた。アウェーでの開幕戦を0―5で大敗した後のホーム初戦も0―2。その後、さらに7連敗ともがき苦しんだチームは結局、ホームで一度も勝てないまま1シーズンで舞台から降りた。

 つらいことのほうが多かった7年前。しかし、あの経験があるから今がある。J1に残留するには守りを固めるだけでなく、人とボールがダイナミックに動く、組織的なサッカーが必要だと気付かされた。スタイルを体現できる監督を招き、選手を育て、積み上げてきた結果、再挑戦できるチャンスをつかんだ。

 この日の神戸戦。スピーディーな攻防は見応え十分で、善戦どころか勝ち切れなかった悔しささえある。くしくも神戸には山口蛍がおり、ベルギー代表DFのフェルマーレン、さらにはけがで戦列を離れていながらチームに帯同したMFイニエスタの姿があった。鳴門に世界的スーパースターや代表級が来るのはやはりJ1だからこそ。ライブでプレーが見られる価値や徳島のサッカーキッズに与える夢の大きさは筆舌に尽くしがたい。

 監督不在を不安視されるヴォルティスだが、今いるメンバーが今できることに取り組み、可能性を広げている。速さと強度を備えるJ1勢と体をぶつけることが何よりの成長の源。今季集まったメンバーにはその吸収力も、伸びしろもあるはずだ。「だからこそ、この舞台で長く戦いたいんですよね」。練習場で選手を見守る岡田明彦強化本部長のつぶやきに、うなずくほかない。