徳島市で二つの問題が物議を醸している。「徳島都市開発への20億円の貸し付け」と「昨夏中止となった阿波踊りの開催準備費用の負担」。いずれも市の公金の使い方を巡る大きな問題なのに、十分な説明ができていない。

 説明不足は<1>根拠や理由が乏しい<2>根拠や理由はあるが、公にできない―場合に陥りやすい。

 徳島駅前のアミコビルを運営する都市開発への貸し付けは<1>のケースだろう。

 20億円の公金投入は、約50億円の負債を抱え、破綻寸前の都市開発を延命させる窮余の策にほかならない。問題は、巨額の公金が無駄にならないかどうか。都市開発は「ビルを再生して中心市街地の活性化に寄与する」というが、その根拠は薄弱だ。

 都市開発の収支計画では、来年秋のリニューアルオープンもあって42億4200万円の資金が必要となる。市の貸し付けを引いた残りの22億円余りの大半を金融機関の融資で賄う予定だが、資金が集まるのか確証が持てない。

 収入の大部分を占めるテナント賃料の見通しも甘い。賃料収入は、そごう徳島店撤退前の2020年1月期決算で年間10億4700万円。計画では、24年1月期には13億3100万円と見積もっている。簡単にはテナントが集まらない中、どう3億円近くも増やすのか。「魅力ある店舗構成を進めることに尽きる」(都市開発)では納得は得られまい。

 収支計画が頓挫すると、さらなる貸し付けが必要になるかもしれない。そんな不安も拭えない。

 内藤佐和子市長は「巨額だが、まちづくりを100年スパンで考えると妥当ではないか」と強調する。市は昨年12月に中心市街地活性化基本計画の策定に着手したばかり。アミコビルがどんな役割を担うかもはっきりしない中、100年単位のまちづくりを持ち出されてもぴんとこない。

 阿波踊りの準備費用の負担拒否は、<2>のパターンに当たるのではないか。

 運営主体のキョードー東京など民間3社共同事業体は準備費用にかかった2100万円の分担を、阿波おどり実行委員会に求めている。だが、実行委の事務局を務める市は「赤字補塡(ほてん)に税金は投入できない」と拒み続け、実行委も応じないことを決めた。

 実行委と事業体の基本契約では、不可抗力で事業体に損害・損失や増加費用が生じた場合は協議し、費用負担を決めるとしている。実行委員長の内藤市長も昨年4月に「契約の規定上も協議の対象となることから負担すべき部分はあると思う」と、費用分担に前向きな考えを示していた。

 なぜ姿勢を変えたのか、十分な説明はない。言えない理由がある、とみるのが自然だ。

 踊り関係者から聞こえてくるのが「市が事業体に契約解除を言わせようと仕向けている」との見方だ。

 状況を見ると、そう捉えざるを得ない。

 先月の実行委の会合で市は、今夏は藍場浜演舞場のみを有料演舞場とする方向性を示した。今後協議していくとはいうものの、運営に大きく関わる重要事項にもかかわらず、事業体の意向を聞いていない。「事業体外し」を強引に進めているように見える、市の手法はあまりに独善的ではないか。委員から「事業体に出席してもらって計画を立てるべきだ」との声が上がるのも当然である。

 内藤市政には説明軽視のイメージがつきまとう。内藤市長が就任早々に打ち出した私立認定こども園・保育園施設整備補助事業の見直し、先ごろ発表した市長給与カットの緩和も説明責任を果たしたとは言い難い。

 昨年の市長選で内藤市長は「対話」を公約に掲げた。対話とは、説明を尽くすことだ。実践できているだろうか。むしろ、「由(よ)らしむべし知らしむべからず」に陥る危険性を感じる。