消火活動中の雑居ビル=14日午後1時45分、徳島市仲之町

 大音響のライブ中に突如響いた爆発音。会場内には煙が立ち込め、騒然となった。14日昼、徳島市仲之町であった雑居ビル火災。迅速な避難誘導で大事には至らなかったものの、多数の被害者が出ていた可能性もある。「怖かった」「ただただ驚いた」。現場からは不審な携行缶が見つかっており、参加者は事態を十分に把握できぬまま、わが身の無事に安堵(あんど)した。

 爆発音が響いたのは、アイドルグループのライブが始まって30分ほど経過した頃だった。卒業するメンバーがソロで歌っていた曲の終盤、「バン」という乾いた音が響いた。「酔っぱらいがドアを蹴り飛ばしたのかと思うほど大きな音だった」(通報者の男性)。すぐに階下から白い煙が見え始めた。徳島市の20代女子大学生は「最初はサプライズの演出かと思った。そのうち黒煙が出てきたので驚いた」と話した。

 「火事やからみんな逃げて」。店の従業員らが大声を張り上げ、ビルの外壁沿いにある非常階段に観客を誘導した。勾配が急で狭い階段だったが客同士も声を掛け合い、パニックにはならなかった。40代男性スタッフは「みんな落ち着いて避難してくれた」と語る。

 出火元の3階店舗とライブ会場の4階店舗は同じ50代男性が経営している。バケツで消火活動に当たった男性は「ボーと音がした途端、突然火が上がった」とした上で「5分、10分と燃えていたら大惨事になっていただろう。ぞっとする」と振り返った。

 出火現場については「普段から火を使う場所ではなく、床がメラメラ燃えるなんてあり得ない。失火とは考えにくい」。

 周辺には消防車など12台が出動した。避難後、メンバーの保護者は「脅迫のメールや電話、付きまとう不審者の情報などは一切ない。グループは温かいファンに囲まれていると思っている」と言い切った。