父の遺志を継いで秀彰さんが完成させた「かりんと饅頭」=徳島市国府町矢野の「福屋 盛壽の郷」

 和菓子製造販売の福屋(徳島市)が、同市国府町の店舗「福屋 盛壽(せいじゅ)の郷(さと)」で、出来たてを味わえる菓子として「かりんと饅頭(まんじゅう)」の販売を始めた。昨秋に急逝した先代社長の「新型コロナウイルス禍に負けず、お客さまに楽しんでもらえる方法を探す」という遺志を継ぎ、新たに社長になった長男が職人とともに作り上げた。

 北海道産小豆を使った口溶けの良い自家製あんを、香り高い沖縄産黒糖を用いた生地で包んでいる。くどさのない米油で揚げ、さっくりとした食感になるよう工夫した。

 先代社長の谷内清高さんが2016年ごろ試作を始めた。産直市・とくしまマルシェで試験販売したものの仕上がりに納得がいかず、常設メニューとするには至っていなかった。

 長男で現社長の秀彰さん(30)が県外の和菓子店での修業から戻ったのは、コロナ禍が広がる20年4月。祝い菓子や手土産の需要が減少する中で「和菓子店としてお客さまに喜ばれることを」と親子で模索し、工房を併設する店舗で出来たてのおいしさを味わってもらうことに行き着いた。

 かりんとうまんじゅうは一般的な菓子だが、揚げたてをその場で提供する店は珍しい。「店が親しまれるきっかけになるのでは」と準備を進めていた10月、清高さんは心不全により62歳で亡くなった。

 悲しみを拭うように、秀彰さんと和菓子職人は試行錯誤を繰り返した。生地の水分量や揚げ時間などを細かく調節。2月中旬、ようやく発売に至った。

 既に人気を集めており、持ち帰りもできるため予約で完売することも多いという。5月ごろまで販売して夏季は休止し、秋から再開する予定。

 秀彰さんは「敷地内の蜂須賀桜も咲いており、屋外でゆったりと味わうこともできる。ここでしか食べられない名物になるよう育てていきたい」と話している。

 午前11時、午後2時に揚げる。1個税別150円。店内飲食時はお茶付きでもてなす。