新規出店した和食の店で徳島県産のハモを手にする豊﨑さん=大阪市中央区道修町

 回転ずしチェーン最大手「あきんどスシロー」の社長を5年半務めた北島町出身の豊﨑賢一さん(53)が起業し、大阪府内に和食店を2店舗出店した。徳島県産などの魚介類を職人技で調理した本格的な料理を提供。今後、インバウンド(訪日外国人旅行者)の集客を進めるなどし、関西を中心に数十店舗の展開を目指す。

 豊﨑さんは2017年6月、大阪市に個人で新会社「一豊」を設立。同市中央区のオフィス街に「魚食処 一豊」の1号店となる道修町店を11月にオープンさせた。

 「本当の魚のうまさを味わってもらう」をモットーに、全国からさまざまな魚介類が集まる大阪市中央卸売市場や、スシロー時代に築いたルートで旬の食材を調達。料亭やホテルで経験を積んだ料理人が調理する。

 定食が15~20種類あり、価格はキンメダイやアワビ、生サーモンといった高級魚を使いながら千円台に抑えている。みそ汁には鳴門わかめを使用し、ハモやアシアカエビ、サワラ、ブリなども徳島産を使っている。

 昼時はサラリーマンでにぎわうなど、店は軌道に乗り、3月には吹田市に2店舗目の服部緑地店を開いた。

 今後は旅行代理店にPRするなどして、インバウンドをはじめとする観光客の誘客に注力する。関西での出店が順調に進めば、古里の徳島県内での出店も検討するという。

 豊﨑さんは09年6月から15年1月までスシローの社長を務め、この間、店舗を約250店から約400店に増やした。16年4月からスシローグローバルホールディングスの取締役に就いている。

 豊﨑さんは「うまい米とうまい魚、そしてうまい汁物を出す和食の店が少ないと感じ、自ら会社を立ち上げることにした。本物の和食をリーズナブルな価格で提供したい。徳島の人にも食べてもらえたら」と話している。