任期満了に伴う阿波市長選が4月4日に告示される。現時点で立候補を表明しているのは現職の藤井正助氏(70)=阿波町十善地、無所属=のみ。藤井市政の1期目で市はどう変わったのか振り返る。

 「課税対象の増加や市有財産の有効活用で自主財源を確保する。農業、子育て支援などをPRして企業誘致に努めたい」。藤井市長は2月8日、2021年度当初予算案を発表する会見で行財政の方向性を示した。合併に伴う普通交付税の優遇措置が20年度で終了し、市の財政運営は一層の歳出削減と自主財源確保が迫られている。

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 市は行財政改革に向け、05年度に初めて「集中改革プラン」(05~09年度)を作った。以来、職員定数の見直しや民間活力の導入などに取り組み、20年度から第4次計画に入った。1~3次では計62億6873万円の削減効果を生み出したとしている。

 貯金に当たる財政調整基金は、20年度末見込みで27億9075万円。減債基金などを加えた基金残高は132億2844万円で、合併当時の37億1427万円から約95億円積み増した。

 一方、借金に当たる地方債残高は198億6千万円(21年度末見込み)で大俣認定こども園の整備など大型事業が多かった19年度を除き、14年度のピーク時以降おおむね減少傾向にある。

 堅調にみえる改革プランだが、近年は効果に陰りが見られる。歳出削減の大きな割合を占めていた人件費のカットが限界まで来ているためだ。合併時492人だった職員数は、20年4月には371人(目標値360人)。121人減ったものの、17年度から目標値を下回る年が続いている。

 藤井市長が会見で「これ以上の職員の削減は市民サービスの低下を招く」と述べており、人員削減の余地はほとんど残っていない。また人件費を削減しても、業務の委託料が増えて削減額が相殺されているのが現状だ。公共施設の統廃合や指定管理者制度の推進などで歳出を減らす方向に転換しつつあるが、大きな突破口は見えない。

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 4年間の藤井市政では、認定こども園の整備や旧市庁舎の改修など複数の大型事業を行ってきた。それでも財政運営が維持できたのは、合併特例債の存在が大きい。市の特例債の発行限度額は222億円で、25年度までの残りの起債枠は14億9千万円になった。

 21年度以降、大型投資は一段落するが、更新時期を迎えた幹線道路などの改修は続く。返済額の7割を国が交付税措置する特例債を最大限使うことになる見通しで、財源が縮小する中での借金増加は負担だ。

 合併後の優遇措置は次々と終了する。歳出抑制と自主財源確保の難しいかじ取りが今以上に要求される。