田山正伸医師

 徳島県内の医療従事者らを対象にした新型コロナウイルスワクチンの先行接種が4日、始まった。県民の間では発症と感染拡大を防ぐ効果が期待される一方、アナフィラキシー(重い副反応)を懸念する声も根強い。県医師会感染症対策委員長の田山正伸医師(69)に、ワクチンとその副反応について聞いた。

 ―副反応とは何か。

 ワクチン接種後に起こる体調の変化で、軽微なものだと注射部位の腫れや痛み、下痢、頭痛、発熱などがあり、数日で治まる。重度の症状をアナフィラキシーと呼び、発疹や呼吸困難、吐き気、血圧低下、意識障害などを招く。米疾病対策センターによると、米ファイザー社製ワクチンは約20万回に1回の割合でアナフィラキシーが確認された。

 ―アナフィラキシーの原因は。

 ファイザー社製の場合、現時点では有効成分を保護するポリエチレングリコール(PEG)が原因物質と考えられている。PEG自体は国内で販売されている化粧品や医薬品に用いられている。もしPEGに対するアナフィラキシーを経験したことがあれば、接種前に医師へ申し出てほしい。

 ―接種会場での対策は。

 アナフィラキシーは接種から短時間で発症することが多いため、しばらく会場に待機してもらう必要がある。対処法は確立されており、直ちに治療すれば命を脅かされるようなことはない。

 ―どんな人が接種できないのか。

 PEGや、似た構造のポリソルベートなどワクチン成分に対するアナフィラキシーの既往がある人や重い急性疾患にかかっている人、発熱のある人は接種できない。自分自身が抱える持病や過敏症をしっかり把握することが大切。妊婦は胎児への影響を考え、妊娠12週目ごろまでは接種を避けるべきだろう。

 ―ワクチンを嫌がる人もいる。

 ワクチンは自分自身の身を守ることに加え、免疫を持つ人が増えることで他の人への感染を減らす集団免疫効果も期待される。世の中にはワクチンを受けたくても、さまざまな理由で受けられない人がいる。接種が可能な条件がそろっているのであれば、身近な人を守るためにも冷静に判断してもらいたい。

医療従事者「拒否しにくい」

 先行接種が進む県内の医療従事者からもアナフィラキシーや副反応を心配する不安の声が上がっている。

 ハウスダストなどのアレルギーがある40代女性病院職員はベビーオイルで肌が内出血するほど肌が弱い。インフルエンザワクチンを接種して原因不明の高熱に苦しんだこともあり、「今回の新ワクチンには不安しかない」ときっぱり。「でも接種を拒否すれば同僚から後ろ指を指されるのでは」と周囲の視線を気にする。

 厚生労働省は、医療従事者も接種は個人の判断であり、「強制ではなく、業務に従事する条件にもならない」としている。だが、吉野川市の60代女性看護師も「医療従事者たるもの接種するのが当然という同調圧力が職場内にある」と証言する。女性はアレルギーがなく、「モラルに訴えられるとつらいものがある」と打ち明けた。

 一方、徳島市の男性医療技術者は米ファイザー、モデルナ両社の臨床試験で2回目のワクチン接種後、被験者の10~17%に副反応の発熱(38度以上)が確認されていることを懸念する。「職員数はいつもぎりぎりなのに、1~2割もの人に発熱で休まれると現場が回らなくなる」として、職員への一斉接種を避けるよう求めた。