3点リードで迎えた七回。ホームランが出れば逆転のピンチをしのぐと、小さくガッツポーズし、天を仰いだ。「最後までひやひやしたが、思い通りの勝ち方ができた。子どもたちには100点満点をあげたい」
 
 今年のチームは爆発力のある中軸を中心に「打ち勝つ野球」が持ち味。前評判は高かったが、今春の県学童選手権は決勝で打線が振るわず、準優勝に終わった。悔しさを味わった選手は自宅での素振りなど自主練習に励み、今大会に臨んだ。その努力を知るだけに、優勝の瞬間は喜びよりも「やっと結果が出せた」と安堵(あんど)感が強かった。
 
 チームを率いて6年目。一塁手の三男健矢君=大松小6年=ら息子3人は全員野球をしており、長男の入部をきっかけに指導に関わった。平日は仕事が終わるとグラウンドに駆け付け、休日もほぼ野球漬けの日々だが「好きでやっているから苦に思ったことはない」と笑う。
 
 小学校1年で野球を始め、小松島西高時代は春夏3度の甲子園を経験。県職員になっても県庁野球部で20年近くプレーするなど競技歴は長く、選手としての経験は指導にも生きている。
 「自分がプレッシャーがかかると力が発揮できないタイプだったので、気持ちが分かる」と話し、選手を頭ごなしに怒らない。理解するまで根気よく教えるなど、伸び伸びプレーできる雰囲気づくりを心掛ける。
 
 一方で礼儀を重んじ、あいさつができない選手には厳しく指導する。野球を通じ、人間として成長してほしいと願うからだという。
 
 徳島市の自宅で、妻と子ども3人の5人暮らし。46歳。