「自然も豊かで子どもたちものびのび過ごしています。ここでの生活が楽しいです」と奥さんの千里さん(38・千葉県出身)。

 徳島で奮闘する若手農業家を訪ねた。就農した理由や実際に始めてわかったこと、仕事のやりがいや苦労、今後の展望についてなどホンネと現実をインタビュー。戦略を立てて農業というビジネスを楽しむ人、栽培した作物を使って加工品を生み出す人、新品種の研究に挑む人…。それぞれのやり方で自らの道を切り拓こうとしている。

澤田和之さん(38・鳴門市出身)

 16年勤めたIT企業を退職し、千葉県から阿南市加茂谷地区に移住。現在、就農に向けて準備中だ。農業大学校が運営する「かんきつアカデミー」で柑橘の栽培管理技術を学びつつビニールハウスでチンゲンサイを育てている。

■就農しようと思ったきっかけ

 那賀町の旧木頭地区で祖父母がゆずの栽培をしていて、祖父が亡くなってからは父と母が手伝っていました。過疎化でゆずの生産者が減っていることを知り、何か力になれないかと思ったのがきっかけです。とはいえ、農業に関してはまったくの素人。両親も妻もはじめは大反対でした(笑)。

■チンゲンサイの栽培を始めたわけ

 徳島県が東京で主催する移住セミナーに参加しました。そこで阿南市の加茂谷地区を紹介してもらって。移住×就農の取り組みに力を入れていることやチンゲンサイの栽培が盛んであることを知りました。ビニールハウスを使うことで季節を問わず収穫ができるというメリットもあるし、祖父母のゆず畑は規模を縮小していたので、これだけで生計を立てるのは厳しそう…と考えていたところでした。資金や生活環境のことを考え妻と相談し、加茂谷地区へ生活の拠点を移し、チンゲンサイの栽培をすることにしました。ゆずは「かんきつアカデミー」を卒業してから本格的に取りかかる予定です。

■現在の状況

 平日の9時から16時は「かんきつアカデミー」での授業や実習です。「就職氷河期世代の新規就農促進事業」という制度を使って補助金をもらいつつ、ゆずの栽培管理についてや農業経営までさまざまな知識を学んでいます。平日の夕方や土曜にはビニールハウスのお手入れやチンゲンサイのお世話。日曜は僕が師匠と慕うチンゲンサイ農家さんのもとで勉強させてもらっています。

■大変だったこと

 農地を整えるまでが一苦労でした。築40年のハウスを近所の方が貸してくれることになったんですが、そのときは骨組みだけの状態。錆びているところを2カ月かけて塗装、先輩農家さん5人に手伝ってもらってビニールを張りました。お正月休みには水やりをスムーズにするために灌水設備を自作しました。現在の規模は500平方メートル、チンゲンサイで生計を立てようとするなら2000平方メートルほどはないと…という感じなので、まだまだ農地を探しています。

■今後の目標

 まずは効率よくチンゲンサイの栽培をすること。その中でも手間を大切に、美味しいものを作っていきたいです。将来的にはゆず畑の規模もどんどん増やして、チンゲンサイと両立させたい。目標は3年後です! 前職を活かしてITを駆使した農業にも力を入れていきたいと考えています。「農業は大変」というイメージを払拭して、自分もやってみようかなと思う人を増やしていきたいですね。