スパイスの焙煎や調合を行っている工房にて。「いただきます」の気持ちを真ん中に食べ物と向き合ってほしいと細川さん。

 徳島で奮闘する若手農業家を訪ねた。就農した理由や実際に始めてわかったこと、仕事のやりがいや苦労、今後の展望についてなどホンネと現実をインタビュー。戦略を立てて農業というビジネスを楽しむ人、栽培した作物を使って加工品を生み出す人、新品種の研究に挑む人…。それぞれのやり方で自らの道を切り拓こうとしている。

いただきます農園の細川真司さん(39・徳島市出身)

 インド縦断の旅を経て、29歳の時に農業を始めた代表の細川さん。「ちょうどその頃、結婚したり、子どもを授かったり、震災があったりで、人生についていろいろ考えるタイミングでした。自分で食べるものは自分でまかなえるような、手作りの暮らしがしたいという思いが強くなったんです。親が農家をやっていることもあり、家の畑で野菜作りをスタートさせました」。

 4.2ヘクタールの広大な農地でメインで栽培するのは、れんこん。ミネラル豊富な土の中で栄養と旨味を蓄えながら育つ。なかでも古来から作られてきた「備中」と呼ばれるれんこんは、ホクホクもちもちの食感。細川さんイチオシの品種だ。また、一部の畑で取り組んでいるのが無農薬れんこんの栽培。「正解が分からないので毎年やり方を変えています。去年は土作りのときに浄化作用のある竹炭を使いました。土の中の通気性をよくする役割もあるので。あとは、唐辛子、酢、焼酎を混ぜた手づくりの液肥をかけて虫除けにしたり…。ほんまに手探り。僕にとっての挑戦やなぁ」と自分に語りかけるように思いを言葉にする。

 8年ほど前からは、インドで食したカレーの味を再現すべくオリジナルスパイスの調合にトライ。そうして完成したのが、23種類のスパイスやハーブをブレンドした「おとうのカリースパイス」。ターメリックやコリアンダー、オレガノ、ローリエなどは種から面倒を見て、無農薬で愛情いっぱいに育てたものばかり。畑から摘みとった原料は、自然乾燥させ、土鍋でゆっくりと焙煎している。その後、大きなかめで1カ月ほど寝かせれば、オリジナルスパイスが完成する。現在は、カリースパイスから派生して、タンドリーチキン用にブレンドした「タンドリーミックス」や、塩こしょう代わりに使える「カリーソルト」など様々な商品が登場。れんこんやスパイスは産直市「喜多野安心市」(徳島市応神町)や野菜のセレクトショップ「ええでないか」(徳島市川内町)で販売している。

>>徳島市川内町米津244-2
080-5420-0667(電話受付9:00〜18:00)
定休日=無休

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