阿波銀行は23日、4月から行員やグループ会社社員らの定年を60歳から65歳に引き上げると発表した。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、ベテランに経験や能力を長く発揮してもらう。老後に備えた資産形成も後押しする。65歳定年制度を導入するのは全国地方銀行協会加盟行で初めて。

 対象は銀行とグループ会社5社(行員、社員ら計1365人)。一律で65歳定年とし、60歳以降も昇進や昇格を可能にする。賞与も支給する。60歳以降は給与が1割程度減るものの、希望すれば勤務日数や勤務時間を減らせるようにして多様な人生設計に対応する。

 現在導入している再雇用制度では、60歳の定年後は嘱託職員として1年ごとに契約を更新する。定年者の約9割が引き続き勤めているが、退職により給与体系が変わるため、現役時代からの減額幅が大きかった。

 65歳以上は現在も希望者をパート従業員として雇用しており、定年延長後も同様に対応する。

 定年延長に合わせて退職金や企業年金などの退職給付制度も改め、退職金の受け取り方法を一時金か年金か選べるようにする。年金は、金利や株価の変動などによる運用リスクを労使で分かち合う「リスク分担型企業年金」を導入し、終身年金を維持する。

 高年齢者の雇用確保を進める一方で、初任給を1万円増の21万5千円とし、それに合わせて若年層の給与を引き上げ、若手のモチベーションアップを図る。

 阿波銀は「職員が安心して働き続けられる環境を整え、長寿に備えた制度を設計するのは企業の責務。グループ全職員の意欲を高め、地方創生にも貢献していきたい」としている。

 徳島労働局によると、従業員31人以上の県内企業のうち、定年を65歳以上としているか廃止しているのは23・2%の205社(2020年6月1日時点)。従業員301人以上の大企業では10・3%の6社にとどまっている。

 高齢者雇用 高年齢者雇用安定法によると、定年制度は60歳を下回ることができない。<1>定年廃止<2>定年延長<3>継続雇用制度の導入―のいずれかを活用し、希望者全員を65歳まで雇用することが企業に義務付けられている。4月には70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする改正法が施行される。